第231話 作戦会議

「アイツら強すぎじゃないか?お前の出番がないまま『20階層のゲート』に着いちまうじゃないか」


 それね。

 明けて、キャンプ地から20階層へ向かう道中。

 相変わらず総司、相川、新人ちゃんの3人で戦っているが、苦戦というものは全くない。


「冬月さんすごいですね」


 新人ちゃんはかなりやる方だと思う。

 総司と相川はレベル27、新人ちゃんは20のはずなのにそれを感じさせないくらい強いのだ。

 一番オークを倒してるんじゃないかな?

 まあ総司は自己強化を使ってはいないし、抑えめに戦っているはずなんだけどね。

 何にもないところで槍をクルクル回転させてるのは気になるけど、杖持ちには弓を使って対処するし、周りも良く見えてる。

 これでまだ【チャージ・槍】のスーパーモードを使っていないのだ。

 17階層までの戦闘は散発的で、18階層からも見張りオークを避けて迂回路を使っているので相川はほとんどMPを消費していない。

 1分以内でケリがつくから【ダンス・レッツ】だけで十分なのだ。

 新人ちゃんにいたってはまだ消費0なんじゃないかな?

 MPの管理という点でもよく出来てると思う。

 総司は昨日肉焼いてたな……。

 MPの無駄使いは減点対象ですね。


「総司、前に出たがってる奴がいるときは無理に出なくていいぞ。実力がわかってるなら思い切って任せてみろ。距離が開いてれば、後ろは【ダンス・ステージ】じゃなくて【ダンス・レッツ】で態勢を整えられるだろ?そしたら前とスイッチだ。そうやってMPを温存して行かないと20階層台じゃ持たないぞ」


 むむむ。

 アネゴさんは総司には優しいな。

 肉を焼いたのは加点だったのか……。

 でもいいアドバイスですね。

 完全に1陣と2陣に分けてもいいかもしれないくらいだ。

 相川に後ろでダンスばっかりしてもらうことになるけど、MPの消費は抑えられる。


「ダンス最高ーっす」


 新人ちゃんがまた新体操のバトンのように槍をクルクルさせながら戻ってくる。

 これはペン回しみたいにクセになってるやつですね。

 円を描くように槍を両手で大回転させた攻撃は参考になったけど、このクルクルは意味わからん。

 矢とか防げるんですかね?

 おっと、次の丘のオークで戦闘になりそうなのは……。


「あの杖持ちは降りてきますね」


「任せるっす。なっちゃん頼むっす」


「はいはい。【腕力アップ・ダンス】【耐久アップ・ダンス】【敏捷アップ・ダンス】【魔力アップ・ダンス】【武器強化・ダンス】!からのー、【ダンス・ステージ】!」


 総司も合わせて3人でボックスステップをする。


「「「じゃん!」」」


「そのミヤコのポーズをやめろって言ってるだろ!なんで全員そのポーズなんだよ!」


「アネゴさんも前にボックスステップでバフ受けてたんですよね?ちなみにどんなポーズなんです?」


 相川がアネゴさんに質問する。

 それは俺も興味あるね。

 次回からはそのポーズで……。


「アタシのは……って、マネする気だな?絶対教えないぞ?バフもいらん!あっ、バカ、まだ撃つな」


 そうこうしている間に新人ちゃんが矢を放った。

 新人ちゃんはダンスを踊る前に槍を地面に差して手に矢を持っていた。

 つまり【武器強化・ダンス】は矢に掛ったのだ。

 強化やされた矢は杖持ちのオークの眉間に吸い込まれるように突き刺さり、貫いた。

 また眉間、お見事。


「命中っす!」


 弓スキル無しでこれはすごい。

 でも……。


「バカヤロー!丘の上で倒したら魔石が拾えないだろうが!」


 丘、というか、見張りオークの範囲に一歩でも踏み込めばすぐさま角笛を吹かれて丘のオーク全てを相手にしないといけなくなる。

 幸いなことに、丘の上のオークを倒してもこちらが範囲内に入っていなければ見張りオークは角笛を吹かない。


「そうだったっす」


 矢も回収できないからね。

 持ち込める矢の数にも限界があるので、弓職はMPの他に矢の数も管理しないといけない。

 外した矢を一々拾いに行ってたら時間が掛かるし、新たな戦闘に繋がるのだ。

 俺と一緒なら【ゲート】を使って1階層から矢の供給を出来るけどね。


「アネゴさん、大声をだすとオークが……」


「うっ、そうだな。進むぞ」


 総司がアネゴさんを宥める。

 やっぱり総司には甘くないか?

 そういえばミアさんもそうだし、白石さんもだ。

 ついでに相川もか……。

 これも【料理】スキルの効果か?





「で、どうやって戦うんだ?作戦とかあるのか?アタシも戦ってもいいぞ?」


 『20階層のゲート』前に着いて、入る前に作戦会議中だ。


「冬月さんにオークジェネラルとの戦闘を経験してもらいたいところですね。名前だけのダブルランクっていうのも良くないでしょうし。できそうですか?」


「やるっす」


「そういうのもちゃんと考えてたのか。偉いぞ。アタシはどうしたらいい?」


 霞さんがそうしてほしいって言ってたんだよね。

 ちゃんと新人ちゃんのことを考えてたのは霞さんです。


「盾のスキルはあるんですよね?俺たちが取り巻きのナイトを片付けるまで、ジェネラルを引き付けてもらっていいですか?近接武器持ちのオークナイトは3人に任せて、弓持ちと杖持ちは俺がやります。それでナイトを全部倒し終わったら、ダンスバフを掛け直してから一対一で戦ってもらう感じで。アネゴさんにはそれまで、できれば攻撃はなしで引き付けてもらいたいです」


「なるほど。弓と杖も一匹ずつアタシが引き受けるよ。ジェネラルと接敵する前にちゃちゃっと片付ける。アタシが向かって右。春樹が左だ。いいね?総司たちの方も大丈夫かい?」


 あんまりいい動きをしすぎても別の問題が発生するから任せよう。


「はい。もう俺もスキル使っていいよな?なら問題ないぜ」


「ナイト相手でも長引くようならバフを掛け直すから、【ダンス・ステージ】って叫んだらこっちに注意を向けてね」


 総司が【杖使い】の自己バフを使うなら、相川の護衛は任せてもいいだろう。

 二人も本気を出すのはダメだけどね。


「了解っす。今回は槍だけで戦うから弓の援護は期待しないでほしいっす」


 新人ちゃんもスーパーモードがあるはずだ。

 レベル20なら最大MPは300。

 丸々残っているので5分間は維持できるはず。

 十分だろう。


「じゃあ入りましょう。俺から行きます。アネゴさんは最後でお願いします」


 一番強い人が最後ってことで。


「わかった。時計だけ確認しとけよ?」


 先頭の人が入ってから一分でボスが湧くからね。

 最初に入った人の仕事だ。

 20階層へ移動する。



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