地球リストラ

第1話 通告

0【全世界通告０００１】

　全人類各位　

　　　　　　　希望退場の募集について　　　　　　　　　地球再生創造機構

　現在の地球環境は、度重なる災害、天候不順、慢性的な食糧不足により、極めて厳しい状況となり、再生のためには不本意ではありますが、下記要項で地球からの退場者を募集することになりました。　

一、募集人数　２０億人　

　　詳細は六項による。

二、募集対象者　本年の一月一日時点で満二〇歳以上

三、募集期間　本年　十二月三十一日まで

四、応募手続き　各国の地球再生創造機構窓口、若しくは、最寄りの市役所でも代理申請可能

五、退場日　翌年十二月三十一日まで　※六項に記載。

六、退場方法

　①　火星移住　募集人数　二千万人程度。順次大型宇宙船にて移住。　

　住宅完備、食料は生涯を通じ三食支給。住居区内に、病院、娯楽施設を無料放。　

　不定期に火星内探索作業の実行義務有り。

　②　各人の信仰宗教での弔いによる退場　※但し、通告同意宗教組織に限る。　

　　例）法王による聖油の秘跡。最高位僧による読誦。ハッジの完全サポート。

　　　※希望人数、実施時期については、各宗教組織によります。

　③　慰労金含む自主退場　募集上限　十五億人　※各国で独自の募集基準があり　

　　　ます。

　　　慰労金支給額　三十万ドル（USドル）　もしくは国籍地の平均年収の３倍。　　　

　　　期間内に応募された該当退場者は、指定病院で退場幇助ナノマシンの体内埋め

　　　込み施術を実施。処置終了後慰労金の給付。

　　　　　（現金若しくは指定口座への振込）

　　　ナノマシンは施術後一年を過ぎると、生体機能を低下させ、生命活動を終了

　　　させます。

　　※この処置では活動停止まで、苦痛や不快感は伴わないことが、医療機器研究

　　　開発機構の研究成果として報告されてます。

　④　最高水準安楽死　募集人数　一億人　指定病院で順次実施。

　　　指定病院　十ヵ国　二十三病院にて実施。　最新の脳波研究により、

　　　多幸感に包まれたまま、最高の状態で死を迎えることが出来ます。指定病院

　　　までの移動、処置までの滞在に関しては、本機構にて準備いたします。

　　※本処置は、安楽死研究員会の最新の成果に基づき、実用化されております。　　

　　参考文献　J.J.Chen　and 　S.H.GamBo　nature　3251（2XXX）：709‐722　

七、その他

　　応募人数が、想定大きく超えた場合は、先着順となります。また、下回る場合は

　継続して募集を行います。　この場合は、過剰人口の地球環境劣化を防止する為、　

　以下も並行して実施致します。

　①　環境保護活動の強制役務。　

　②　退場勧奨、 指名退場。　

　※本通告は各国家主導のもと、超法規的処置を含み実行されます。

　　また、本内容は、本機構のＡＩシステム、地球環境実行システム（ＥＲＯＳ）

　　による解析結果に基づいて作成しております。