第25話 突然の別れ

「本当に良いのかい?君はそれで…」


「ああ…そろそろ潮時だと思い始めてな。それにアイツらが幸せそうにしてるのを見れて満足したんだ」


「後悔は無いようだね…わかったよ。ただしキチンとお別れの挨拶をするんだね。それが条件だよ」



ある日の午後…



「いらっしゃいませ〜お好きな空いてるお席へどうぞ」



いつも通りの極楽亭に笑顔のルシードと少し暗い表情のレジーナがやって来た


「よお諭〜今日は最後の酒飲みに来たんだ!仕事が終わったら一緒に飲んでくれよ」



今最後って言ったか?どうゆう意味なんだ?

諭はそう思いながらもいつも通り仕事をこなした



仕事を終えた尋と諭はルシードとレジーナが座る席に来た


「立ち話も何だから座れよ…」


席に座るや否や諭はルシードを問いただした


「最後ってどうゆう意味だよ?」


「うん…実はな…俺はそろそろ生まれ変わる事になったんだわ」


「え?」


「つまりこの死者の世界から居なくなるって事さ」


「待てよ…随分と急じゃ無いか!」


「ああ…短い間だったけど諭と知り合えておまけに妹に子供が出来て嬉しかった…まさか死んでから伯父になるとは思わなかったわ」


「だからレジーナが暗い顔してたのか…」


「ええ…ルシードとはずっとここで暮らせると思っていたから信じられなくて」


レジーナがそう言った


「お前らはまだ生まれてくる子供が居るから生まれ変わるのはずっと先になるだろうからな…でも俺は違う…」


「どうする事も出来ないのか?」


「もう決めた事だからな…そんな顔で見るなよ…決心が揺らぐ」


すると神様が突然現れた


「諭…それくらいにしてやってくれないかな?ルシードを送り出してやってよ。彼の気持ちを尊重して欲しい…頼むよ」


すると何かを感じ取った尋が口を開いた


「ルシードは諭と妹が幸せそうにしてるのを間近で見て満足したのかな?それで生まれ変わる決意を固めたって事なんだね?」


「さすが尋だね。その通りだよ」


「でも私達に相談くらいして欲しかったわ…勝手に1人で決めちゃって…」


レジーナは悲しそうな顔をした


「悪ぃ…本当は何も言わずに行くつもりだったんだけどこの神様に条件つけられてな〜」



「だって水臭いじゃ無いか…別れも言わずに生まれ変わるなんてさ…僕はそういうの好きでは無いんだよね」



「条件はのんだんだ…今度はこっちの言い分聞いてもらおうかな?」


「何?」


「どうせ生まれ変わるなら戦いとは無縁の場所にして欲しいもんだ…もう戦いばかりの生活に疲れたからな」


「う〜ん…僕にそこまでの権限は無いんだけどね…生まれ変わる場所くらいしか斡旋出来ないよ?」


「それで充分だ…我儘聞いてくれてありがとうな!」





ルシードはその一週間後…辺境の平和な国の商人の息子として生まれ変わるのだった




「今度こそ本当に幸せになるんだよ…」



彼を見守る神様はそっと呟くのだった





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