第19話 神様の助手

とある部屋の中


何やら機械の前で唸る人物が居た


「魔王の復活が近づくに連れて死者の判別する作業が多くなって敵わん…こいつは悪人だから裁きの門にやらずに速攻地獄行き決定で…こっちは生まれ変わりの順番整理してここをこうやって自動化出来ないかなぁ…」


銀色の長い髪に整った顔立ちで男とも女とも見える人物…


死者の世界で人間の死者達を選別している神様である


「私1人ではそろそろ限界だなぁ…助手でもスカウトするかなぁ…」


そう呟いた


そして街に来た者達の中に一際目を引く女性を見つけた


ブロンドの長い髪に碧眼の美女


話をしてみようと声をかけた


「ここは死者の街だよ…生まれ変わるまで過ごす場所なんだよ」



「そうなんですか?普通の街なので生き返ったのかと思いました…何故このような形にしたのですか?」



「そう言われても先代の神様から引き継いで仕事してるから理由は知らないなぁ…」



神様はその女性サリアと話をし始めた


どうやら彼女は女教皇の納める国の出身で秘書官を勤めていたらしく聡明で美しいので人気があったらしい


その反面一部の人間には僻まれていたようだ


彼女の死因は女教皇を襲おうとした者から毒の塗られたナイフで刺された事によるものだった


「私が死んだ後に教皇様がどうなったか知りたいですけど、ちょっと怖いです」



「知らない方が幸せな事もあるからね…さてそれより君にお願いがあるんだけど聞いてくれるかい?」


そう神様はサリアに切り出した


そう言われたサリアは思わず聞き返した


「私にお願いですか?私に出来る事なら断る理由も特に無いと思いますが…」


謙虚な彼女の姿勢を見た神様はホッとした様子で続けた


「実は僕の仕事の手伝いをしてくれる人を探していてね〜君の秘書官として培った能力が活かせるんじゃ無いかと声をかけたんだよ」


「そうだったのですか…私で宜しければお手伝いいたします」


こうしてサリアが神様の助手となった


サリアは初めて見る機械に戸惑ったがすぐに操作方法も覚えて使いこなせるようになっていった


そんなある日神様は死者の街に辿り着けずに彷徨ってる死者を迎えに行った



サリアは機械を操作しながら死者の管理業務をこなしていた


そして自身が使えていた女教皇が死去した事を知る事になる


女教皇は裁きの門に送られて地獄行きが決定したのを機械を通して見ていたサリアは震えが止まらなかった


何故ならサリアを殺した黒幕が女教皇だった事を知ってしまったから


「信じてお使えしていたのに…裏切られていたなんて…」


サリアの後継は女教皇の娘婿で聡明とは言い難い人物だった


その結果、国でクーデターが起こり女教皇は公開処刑されていたのだった



真実を知ってしまったサリアを連れて神様は食事処に来ていた


「慰めの言葉も今の君には辛いだけだろう…美味しいものでも食べれば少しは心が軽くなるよ」


珍しいドラゴンの肉の煮込み

マグラニアと呼ばれる芋系の植物のポタージュ

ラスモナと言うレタスに似た野菜のサラダ

レニベという魚のオイル煮

デザートは色々な果物が乗ったタルトやアイスクリームチョコレートケーキなど数種類の盛り合わせ


どれも美味しくて心が満たされていった


「明日はゆっくり休むと良い…何もかも忘れてしまうんだ…君の手伝いが無ければ僕としても困るからね」


そういうと神様はサリアの頭を優しく撫でた


いつのまにかサリアの眼には涙が溢れていた



その後サリアは仕事を通して異世界から来た北川に出逢うのだが続きはまたの機会に

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