フロント・ライン
ツェルト
プロローグ
前触れ
ートリアス王国内ナルザノールド家邸宅
「失礼します。珈琲をお持ちしました」
「ああ、ありがとう」
男はメイドからカップを受け取り、自室から中庭を眺めていた。小鳥たちがさえずる中、暖かい日が差し込むこの部屋で彼は一人悩んでいた。
〈ティラン・ナルザノールド〉
トリアス王国に300年以上続く名家、ナルザノールド家の現当主である。
「やつらの計画はどれくらいまで進んでいる?」
「はい、報告いたします。現在、バーレイ帝国内にて戦争の動きありと。再び大戦を起こし、その混乱に乗じて一気に遂行するつもりなのでしょう」
「そうか、我々も動かなければな…」
ティランは右手の拳を、力いっぱいに握りしめた。
「必ず、止めなければ…!世界を統合し、全種族を奴隷化するという狂った計画を!」
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