第2話
初めて彼に出会ったのは、中学二年生のころ。初めて知ったときは、人気者、としか思っていなかった。実際、彼はかなりの人気者だったし。
彼のことが好きになったのは高校二年生の時だった。とくにこれといった理由はないけれど、彼の声をたくさん聴くようになって気付いたら好きになっていた。
彼の声は心地がいい。
あまり低くはないけれど、私よりか幾分低いその音は彼に合っていた。歌うときは少し低くなるのも、好きだった。
彼の声を小さなスマホの画面から聞きながら寝るときは、なぜだかいい夢が見られた。
彼は、頭がよかった。大学入試も推薦がもらえるらしいし、いつも成績は上位らしいから。
それに彼の一つ一つの言葉は、頭がいいんだな、なんて思う。
少し難しい言葉を簡単に使うし、彼は話し方が上手だった。私は彼を、尊敬もしていたのかもしれない。
彼は、沢山の子と仲が良かった。いつも沢山の子と話しているし、好かれていた。うらやましかった。彼も、彼と話せる子も。
彼に恋人はいるかもしれない。けれど、それを知らないうちは、夢を見ていたかった。
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