第20話
教室に入ったと同時にホームルーム開始のチャイムが鳴った。
「遅いぞーって、天心だよな?なんか雰囲気変わったか?まぁいいや、とりあえず早く座りなさい」
「はい、、」
先生の一言によって、クラス全員の視界を身に受けることになってしまった。
ん〜、気まずいな。そんなにこっちをチラチラみて内緒話しないでくれよ。
恥ずかしいじゃないか。
先生も言ってたけど、やっぱりこの髪のせいなのかな〜。
まなはああ言ってくれてたけどやっぱり下手くそなのかな。
「起立、礼。ありがとうございましたー」
ホームルームが終わると同時、おれだけでなくまなまで予想外であっただろうことが起きた。
「ねぇねぇ天心くん!その髪どうしたの?!」
「彼女できたの?!」
クラス中の女子たちが寄ってたかってきて、質問攻めが開始されたのだ。
「あ、えっと、、ちょっと待って!そんな急に沢山質問されても、、」
そういうと女子たちが少し落ち着きを取り戻してごめんねーと謝りつつ、質問を一つづつしていくことになった。
もちろんそこにおれの意見は取り込まれていない。
「天心くん、その髪自分でやったの?」
そう聞いてきたのは、クラスの中でも中心となっている人物、新村紗奈にいむら さなだ。
これぐらいなら答えても問題ないだろう。
「そうだよ。夏休み中に美容室に行った時にセットの仕方を教えてもらったんだ」
「へぇ〜、いいじゃん!めっちゃかっこいいよ!」
・・・え?今この人はなんて?聞き間違いかな、いや待て。周りからのあの視線を考えろ、あれは髪が乱れてたからじゃないんだ。そういう事だったのか!
「ほんと?いや〜よかった!実はさ、今日のセットは失敗したんじゃないかってずっと心配だったんだよね!ほんとにありがとう!」
その時、横から殺気が、、、まな、?なぜそのような怖いお顔をしておられるのですか?
え、なに?おれここで殺されちゃうの?
あれはまずい、とてつもなく不機嫌だ。今すぐ機嫌を取りに行かないと!
すぐにスマホを取り出せてまなに連絡を入れる。
(今から少し出れる?)
するとすぐに返信が来た。
(なんですか急に。かわいい女の子たちと楽しくやってればいいじゃないですか)
まずいなこれは。
(この人達には謝ってすぐ終わらせるから、お願い)
まながここまで不機嫌になるなんて初めてだ。
(分かりました。それじゃあ誰も使ってない空き教室で)
そう返信してまなはすぐに教室を出て行った。
おれも早く行かないと。
「ごめんみんな、おれこれから少しだけ用事があるからもう行くね、それじゃ!」
そう言って席を立ちすぐに教室を出ると、後ろから残念がる女子達の声が聞こえた。
あの人達よりまなの方が優先に決まってる!早く行って機嫌をなおさないと、、
急いで教室へ向かいドアを開けるとまなが椅子に座り俯いて待っていた。
「どうしたんですか?女の子達と楽しそうに話していたのに」
直接話すと、よりいっそう不機嫌が伝わってくる。
「おれ、自分で何したかわかってないけどさ、まなが怒ってるのは分かるんだ。ごめん!おれ何した?」
そういうとまなは少しだけ顔を上げて上目遣いで口を開く。
しかし、何も言わずにすぐ下を向いてしまう。
「ん?どうしたの?もしかして具合悪い?」
「ち、違います。空くんがほかの女の子たちと楽しそうに話すから、、」
「え?」
「だから!空くんがほかの女の子達と楽しそうに話してるのを見て嫉妬したんです!」
そう言って顔を真っ赤に染めるまな。顔どころか耳まで真っ赤になってまるで茹でたこのようだ。
「あの人達に嫉妬したの?」
「・・・はい」
そっか〜。まずい真剣な話なのに顔がニヤニヤしてしまう。
「まな?おれはさまなに釣り合う男になれるようにこの格好をしてる。嫉妬してくれるのは少し嬉しい気持ちもあるけど、おれの中で一番好きで一番愛しているのはまなだけだよ」
言ってる自分でも恥ずかしくなるような言葉を口から発して、まなに自分の気持ちを伝える。
するとまなは、下げていた顔を上げておれの目をみて話す。
「わかってます。それでも嫉妬してしまうんですよ。周りには私たちの関係を話していないし、あの女の子達はきっと空くんがかっこよくなったから話しかけたんですよ?そんな下心丸出しの人達と空くんが話してたいたら、わかっていても不安になります」
確かにその通りだ。この関係を知らない彼女たちが俺に話しかけてきたら、不安になるのも仕方がないだろう。
「ごめんね。でもさおれのことをかっこよくて話しかけてる人達なんていないと思うよ?おれ顔もそんなにイケメンじゃないしさ。イメチェンしたから気になってるだけ」
そういうとまなはなぜか深いため息を発して少し怒った表情になり、またすぐに戻った。
「は〜、もういいですよ。空くんの気持ちを聞いたら安心出来ました。絶対にほかの女の子達に振り向かないでくださいね?」
「もちろん!おれはまなしか見てないよ」
そう言っておれはまなに近づいて頭を優しく撫でる。
「空くんに頭撫でられるの好きです。これからもこうやってくださいね」
「あぁ、だから安心してね」
小さく頷き気持ちよさそうにするまな。
よかった。まなの機嫌は治ったみたいだ。
これからは少し女子たちとの関係に気をつけないと。
「そろそろ授業が始まるし教室に戻ろうか」
二人でその場を後にして教室に戻る。
心做しかまなの距離が普段よりも近いが、仕方がないだろう。
これからも不安にさせないようにいっぱい愛情表現をしていけないとな。
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