第43話 姉と弟2
ノーブラなので胸の感触がダイレクトに伝わってくる。
健全な男子高校生なのだ、反応しないわけがない。
正は焦っていた。
これ以上は理性がもたないと。
「あ、当たってるよ。」
何がとは言えないが、それとなく注意してみる。
「当ててるのよ。
直のが良かった?」
注意したのが逆効果のようだ。
「このままだと、俺の理性が‥。」
茜の指先が正の身体をゆっくり這っていく。
「ほら、本能に従ってごらん。」
茜が妖艶な笑みを浮かべる。
「間違ってたらごめん。
もしかしてだけど姉ちゃん俺のこと好きなの?」
あきらかに度が過ぎたスキンシップにそう結論付ける。
「好きよ。
大好き。
愛してる。
誰よりも。」
どストレートの告白が即答である。
「いつから?」
好かれるような切っ掛けが思いつかないので思わず聞いてしまう。
「う〜ん、元々好きだったけど決定的だったのは山登りの時かな。」
茜が少し照れながらその時の事を思いだす。
* * * *
まだ正達が小学生の時、家族で山登り行った。
もちろん本格的なものではなく、日帰り出来る程度の登山である。
その日は天気も良く、頂上で記念撮影して少し開けたところでお昼を食べ、予定通りに事が進んでいた。
このまま何事もなく無事に下山出来ると家族の皆がそう思っていた時にそれは起きた。
他の登山者とすれ違う時、暗黙のルールとして必ず挨拶をしている。
その行為が子供ながらに楽しくて、ついそちらに気が向いてしまったのだ。
登山者とすれ違う時、茜は手を振った。
それ自体は大した事ではなかったが、相手が手を振りかえしてくれるのに集中して脚元を見てなかった。
登山者を避けるため、道の端っこを歩いてたのも災いして足を滑らせる。
咄嗟の事で近くにいた父も母も晶も反応出来なかった。
「あっ!」
茜は一言叫ぶと崖から転落しようとしていた。
その時、正はとっさに手を伸ばして茜の腕を掴むと身体を入れ違いにした。
まだ小学生で力も弱かったので引っ張り上げるのは無理だったからだ。
茜の代わりに正は崖から転げ落ちた。
断崖絶壁ではなかったが、それなりに角度のある崖である。
正はクルクル回転しながら木々の間を転げ落ちていく。
なんとか木を掴もうと試みるがスピードが早くて無理であった。
そのまま20メートルぐらい高さのある崖から落ちようとした瞬間、運良く大木に激突して止まるのであった。
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