第20話 VTuver2

「それでは、今日の配信はここまでね。

 いつも応援してくれて、ありがとう!

 それでは、次回をお楽しみに!」


24時から始まった配信は途中盛り上がってしまい予定より30分遅い、26半で終わったのであった。


*    *    *    *


「ふぅ〜、今日も盛り上がった!

 やっぱりウチのクラスの話は盛り上がるよね?マネージャーもそう思うでしょ?」


「確かに盛り上がりましたけど、実名出したりとかは辞めて下さいよ。」


「わかってるわよ!

 私もバカじゃないんだから、同じ事を何度も言わないでよ。」


「不快な思いをさせたなら、ごめんなさい。でも、マネージャーとしてと一ファンとして貴女がまた炎上するのは見たくないので‥。」


「心配してくれて、ありがとう。

 いつか大手事務所に返り咲くまで、私は負けないから!」


私は苦楽を共にしたマネージャーに決意を聞かせるのであった。


*    *    *    *


私は叶京香、29歳。

若葉高校1年3組担任は表の顔で、裏では個人でVTuverをやっています。


過去に大手VTuver事務所から「白雪」としてデビュー、歌唱力もあってそこそこ人気が出たがリスナーと個人的にやり取りしたのがリークされ炎上、事務所総出で火消しに走ったが他の事案も次々とリークされ最終的には卒業する(解雇される)事になった。


しかし、叶京香は挫けない。

次に中堅のVTuver事務所に移籍、『ユメノシズク』に転生し活動を始める。

今度はリスナーとの個人的なやり取りは辞め堅実に配信を続けたが、まさかの事務所社長が飛ぶという悲劇が起き、泣く泣く活動が終わる羽目になった。


しかし、叶京香はまだ挫けない。

運良く大手VTuver事務所のオーディションに合格、『チャチャ』に転生し活動を開始する。今度の事務所は社長が飛ぶような経営はやってなく長く続けられるかに思われたが、またもや悲劇に襲われる。

配信中に弟の声が入ってしまい、大炎上。

実の弟だと枠を設けて説明したが、リスナーは裏切られたと聞く耳をもなかった。

結局また卒業する(解雇される)事になった。


普通ならこれで心が折れそうなものだが、叶京香のメンタルは鋼鉄で出来ていたようで、今度は杜若 雫(かきつばた しずく)として個人でVTuverを始める事になる。


ちなみにマネージャーは親友の子がずっとやってくれているのであった。


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