第17話「謝りたいこと」
今日はついに東雲先輩と会う日。
あの不良たちに関しての真面目な話だろうけど先輩と会って話すというイベント自体に妙に浮き足立ってしまう。
「はぁ…ちゃんとしなきゃな」
そこで俺は頬を両手で叩いてひとつ自分に喝を入れて玄関を出た。
今日は日曜日ということもあって人が沢山いる。
大通りを抜けて路地に入ると目的地の喫茶店を見つける。
「ここ…だよな?」
その喫茶店は『again《アゲイン》』という店名だった。
日本語訳すると再びって、なんか不思議なカフェだな…
ここは先輩直々に指定した場所であった。
それにしても路地裏の見つけづらいこの店を選ぶってことはなにか理由でもあるのだろうか。
店内のドアを開くとカランカランとドアに取り付けられていた鈴のようなものが鳴った。
おぉ、なかなか風情がある店だな。
内壁は古民家を思わせる木を前面に出して造られており、コーヒーのいい匂いが充満していた。
心の中で感嘆していると店員さんらしき人がやってきた。
「おひとり様ですか?」
「いえ、あとから1名来るのですが…」
「そうですか、それならこちらの席をご案内します」
「あ、ありがとうございます」
「見たところ高校生…と言った所でしょうか?」
「はい、そうですね」
「高校生は特別割引が適応されますのでこちらも合わせてご覧くださいませ」
「ありがとうございます」
そう言ってメニュー一覧のようなものが手渡された。
「ご注文がお決まりでしたらこちらのベルをお鳴らしくださいませ」
そう言い指さしたのは昔ながらのベルだった。
へぇ、今どきこんなレトロなの使うんだ。それもまたいいなぁ…
「ではごゆっくり…」
店員さんの物腰の低い接客はとても好感が持てた。
それより学生割引があるなんて財布の中がいつも寂しい高校生にはありがたい店だな。
メニューでも見て時間を潰すとするか、
メニューの種類は沢山あった。
古風な喫茶店だから洋風なものは無いんだろうなと思っていたが以外にもサンドウィッチなどもありメニューは豊富だった。
どれも美味しそうだなあ…
メニューを眺めているうちに目の前に人影が現れた。
「ん…?」
そこにいたのは少し肩の出た白いワンピースに身を包んだ先輩だった。
「こんにちは、七瀬くん」
こちらに微笑みかけてくる先輩の姿はこの前とは打って変わって大人びた印象を思わせた。
「待ったかな…?」
髪を耳にかけながら言うその仕草は妙に艶めかしく感じられた。
「いえ、今来たばかりなので」
それに俺は笑顔で答えた。
「それにしても前より結構痩せてて髪型とかも変わってたのによく分かりましたね」
「あぁ、そのことも含めて今日話しに来たの」
そう言って先輩は向かいの席に座った。
「七瀬くんには謝らなきゃいけないことが沢山あるからね、早速話し始めましょうか」
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