第17話

翌朝。


「...。朝か。詩織さんと伴場はまだ寝ているな。冷蔵庫のものはさすがに今は食えんな。今のうちに市場へ行ってくるか。」


そう言って私は市場へと向かった。


「ハムと玉子、ブロッコリーとレタスとトマト。あと、米は家にあったな。まだ大丈夫だ。さて、戻るか。」


朝食の食材を買って家に帰った。家に帰るといきなり


「触らないで!この変態!」


と詩織が


「い、いや、違うんだ!誤解ですよ!」


「何が誤解なんですか!触ってきたじゃないですか!」


と騒々しい。


「あの~、お二人、何かありました?」


と私が聞くと


「この人が私の顔を触ってきたの!」


と詩織が


「ち、違うんだ!朝起きたらお前の家で、そしたらお前のベッドで美女が寝ていたから顔をじっくり見ようとして...。」


と伴場。


「なるほどね。わかったわかった。詩織さん、こいつは女たらしでどうしようもないですが、そんなチンケなことをする下衆ではないですよ。本当に詩織さんの顔が見たかっただけだと思いますよ。だって詩織さん、美人だから。」


と私が要約すると


「あら、そういうこなの?しゅんちゃんがそういうなら...。」


となんだか複雑な表情をする詩織であった。


「わかってくれてありがとう。昨夜の記憶があんまりないんだ。」


と伴場が答えた。


「俺を殴ったことも?」


と私が言うと


「え?俺殴ったの?今日殴ろうと思ってたのに!」


と伴場


「勘弁してくれよ。何回も殴られたくねぇよ。」


と少し場の雰囲気が和んだ。そして私が


「そういえば、詩織さんのお父さんに会うんでしたよね。どこにいらっしゃるんですか?」


「今は大阪の工場近くのマンションにいるみたい。そこに行きましょう。今からだと夜には間に合いますわ。」


「ちょちょちょ、俺も行っていいかな?」


と伴場が言ってきた。


「お前、今回何にもしてないだろ?お前が会ってどうすんの?」


「いや、俺もお前みたいに詩織さんの所で働けないかな?って思って。」


「簡単に言うけど、俺達死にかけたんだぞ?そんなことできるの?」


「え?そんな危ない橋を渡ってきたの?」


「そうだ。だからお前がかなり酷い尋問されたんじゃないか。」


「そうか...。だから今東日本連合軍が反転攻勢を仕掛けてるのか。」


「お前よく知ってんな。スパイか?」


「違うよ。その酷い拷問みたいなものから解放してくれたのが東日本連合軍だったからさ。それからちょっとだけ付き合いがあって、お前の話なんかも聞かれてさ。」


「なるほどね。なおさらお前を連れていけないな。やっぱり危ないよ。悪いが今回は引いてくれ。」


「そうか...。わかった。お前がそういうならそうするよ。」


と伴場は逸る気持ちを抑えて納得した。


「さて、ようやく朝ごはんにするよ。」


と私は胸をなでおろして朝食を作った。

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