第336話 猫は多夫多妻

 泉から戻って来ると、レッドとブルーとフォーンは、ねこねこだんごになってお昼寝をしていた。


 なんだ、3匹は仲良しなんじゃないか。


 同じ集落しゅうらくらしているから、幼馴染おさななじみなのかもね。


 ねこねこだんごになっちゃっているから、治療ちりょうするのは無理そうだ。


 起きるまで、待つしかないか。


 ずっと待っているのもつまらないから、ぼくもお昼寝しようかな。




 オオカミと違って、猫は一夫一妻制いっぷいっさいせいではない。


 もともとオス猫には、発情期はつじょうきというものがない。


 オスは、発情期はつじょうきむかえたメスの鳴き声やフェロモンに反応して、発情はつじょうする。


 発情期はつじょうきになると、オスもメスも複数ふくすうの相手と交尾こうびをする。


 同じ猫から産まれた仔猫こねこなのに、兄弟の毛色や模様もようがバラバラの場合は、複数ふくすうのオスと交尾こうびをした証拠しょうこなんだよ。


 毛色や模様もよう遺伝いでんするから、仔猫こねこの毛でお父さんが誰か分かる。


 交尾こうびの相手を選ぶ権利けんりは、メスにある。


 うばい合いのケンカで勝ったとしても、メスが選んでくれなかったら、交尾こうびは出来ない。


 フォーンは、レッドとブルーのどちらを相手に選んだのかな?


 ちなみに、ぼくのお母さんは、お父さんがイチモツの集落しゅうらくで一番強い猫だったから選んだらしい。


 そういえば、お父さんとお母さんが交尾こうびしているところは見たことがないな。


 いや、自分の親の交尾こうびなんて、見たいもんじゃないけど。


 もしかすると、ぼくがいない間に、交尾こうびしているのかもしれない。


 ぼくに弟や妹が出来たら、めちゃくちゃ可愛がると思う。


 でも、弟も妹もすぐ大きくなって、見下ろされるようになるんだろうな。




 実はぼくは、今まで一度も発情はつじょうを経験したことがない。


 きっと、ぼくの体がずっと仔猫こねこのままだからだと思う。


 どうせ、弱いオスはメスに選んでもらえないから、一生交尾こうび出来ない。


 むしろ、発情はつじょう出来なくて良かったかもしれない。


 交尾こうびなんか出来なくても、生きていけるし。


 ぼくはお医者さんだから、命を産むよりも救う方が大事。


 ……別に、悲しくなんかないやい。

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