第249話 おばあちゃん子

「ワシは、シロクロといいますナァ~」


 集落しゅうらくおさは、白と黒の模様もようがあるシロクロ猫だった。


 お年寄りの猫だから、毛につやがなくて、パサパサボサボサ。


 猫はこまめに毛づくろいをして、毛並けなみを整えるものなんだけど。


 お年寄りになると、あまり毛づくろいをしなくなっちゃうんだよね。


 毛づくろいをしていないから、換毛期かんもうきをとっくに過ぎているのに、冬毛ふゆげがもっさりと残っている。


 暑くなっても冬毛ふゆげが残ったままだと、熱中症ねっちゅうしょうになったり、毛がれて皮膚炎ひふえんになったりするらしい。


 年を取ると、体力や免疫力めんえきりょくが落ちて、病気になりやすいし。


 お年寄りの猫こそ、定期的ていきてきなブラッシングが必要なんだよね。


 シロクロを見ていると、イチモツの集落しゅうらくのミケさんを思い出す。


 ぼくは人間の頃からおばあちゃん子だったし、ミケさんのことも大好きだった。


 優しそうなお年寄りを見ると、つい甘えたくなってしまう。


 困っているお年寄りがいたら、声を掛けずにはいられない。


 シロクロも困っているなら、何かしてあげたいと思ってしまう。


「ミャ?」


 他に何か困っていることや、ぼくにして欲しいことはありませんか?


「お医者さんにして欲しいことですナァ~? 何かありましたかナァ~?」


 シロクロはそう言って、首をかしげて考え込んでしまった。


 お年寄りだから、思い出すのに時間が掛かるのかもしれない。


「ミャ?」


 あの、もしよければ、毛づくろいでもしましょうか?


 ぼくが毛づくろいしている間に、思い出すかもしれませんし。


「そうですナァ~? だったら、お願いしますナァ~」


 シロクロはうれしそうに目を細めて、ゴロンと横たわる。


「ミャ」


 あ、そうだ。


 良いものを作ってきますので、ちょっと待ってて下さい。


 シロクロに、そう言い残して、その場をはなれる。


 松の木を探して、手早てばやくノミブラシを作った。


 ノミブラシで、シロクロをブラッシングすると、気持ちよさそうにうっとりと、目を閉じる。


「ナァ~……気持ちが良いナァ~……」


 シロクロは、ビックリするほど冬毛ふゆげが残っていた。


 ブラッシングすればするほど、大量の毛が抜けていく。


 あっという間に、抜け毛の山が出来た。


 ボサボサの冬毛ふゆげが抜けて、スッキリした見た目になった。


 うん、やっぱりどんな猫も、ブラッシングすると綺麗きれいになるね。


 ブラッシングが終わると、シロクロは、自分の体を見回して感心している。


「ナァ~? 毛づくろいしてもらったら、急に体が軽くなって涼しくなりましたナァ~。さすがはお医者さん、毛づくろいも上手ですナァ~。ありがとうございますナァ~」 


 シロクロによろこんでもらえて、ぼくもうれしくなった。

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