第244話 犬がかかりやすい病気

「ミャ」


 あなたの集落しゅうらくは、どこですか?


 もしよろしければ、あなたの集落しゅうらくへ案内してもらえませんか?


「ボクは、ナズナの集落しゅうらくの猫ニィ~。また、戻ってくるニィ~?」


 キジシロネコは笑顔でそう言って、ぼくたちの後ろを指差ゆびさした。


 ナズナの集落しゅうらくは、ついさっき旅立ったばかりだ。


 次の集落しゅうらくまでは、約5kmもはなれているんだった。


 猫の縄張なわばりの範囲はんいは、オスネコで半径約500mと言われている。


 警戒心けいかいしんの強いメスネコは、半径約50mとせまい。


 このあたりにいるんだったら、ナズナの集落しゅうらくの猫に決まっている。


 間違まちがえちゃって、ちょっと恥ずかしい。


「ミャ」


 いえ、この近くに別の集落しゅうらくがないかと思って、探していまして。


 ナズナの集落しゅうらくの皆さんには、よろしくお伝え下さい。


「そうだったのニィ~? 助けてくれて、ありがとうニィ~。また来てニィ~」


 キジシロネコは、手を振って、ナズナの集落しゅうらくへ戻って行った。


 見送ってから、トケイソウのことを思い出した。

 

 でも、トケイソウのハーブティーは、乾燥させた後、長い時間水出ししないといけない。


 今回は、あきらめよう。


 次の集落しゅうらくく頃には、乾燥しているかな?


 1日1kmくらい移動すると考えて、次の集落しゅうらくまで、5日以上は掛かる。


 トケイソウのハーブティーって、どんな味がするんだろう。


 自分で作ったハーブティーを飲むのは初めてだから、楽しみだ。


 早く飲みたいな。



 急ぐ旅じゃないから、お散歩するみたいにのんびりと歩いて行く。


 おなかがいたら狩りをして、のどかわいたら川で水を飲む。


 ちゃんと水を飲まないと、脱水症状だっすいしょうじょうを起こしたり、下部尿路疾患かぶにょうろしっかんになっちゃうからね。


 水たまりの水は、もう絶対飲まないぞ。


 

 ある日、グレイさんが前足で、頭をいていることに気が付いた。


 心配になって、問い掛ける。


「グレイさん、どうしたのミャ? かゆいミャ?」


『ああ、なんか急に、かゆくなってな』


 そう言いながら、グレイさんは耳や首をきむしっている。 

 

 ぼくはあわてて、く足を止める。


「グレイさん、いちゃダメミャ!」


 きっと、ナズナの集落しゅうらくから、ノミが付いてきちゃったんだ。


 でも、全然違う別の病気かも知れない。


 教えて、『走査そうさ


対象たいしょう食肉目しょくにくもくイヌ科イヌ属トマークトゥス』


症状しょうじょう外耳炎がいじえん


処置しょち抗炎症剤こうえんしょうざい抗菌薬こうきんやく抗真菌薬こうしんきんやく塗布ぬる駆虫薬くちゅうやく投与飲ませる


 どうやら、グレイさんは耳の病気にかかっているようだ。


 でも、これならぼくでも治せそうだ。


 抗菌薬こうきんやくも、抗炎症剤こうえんしょうざいも、駆虫薬くちゅうやくも、どれも見慣みなれたものばかり。


 抗真菌薬こうしんきんやくは、知らないけど。 


「グレイさん、すぐ治すからミャ」


 ぼくは優しく笑い掛けて、さっそく薬草を集め始めた。

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