涼 と 湖 と 輝く貌-かお-
:顔が輝いてる……?!
:湖の効果か!?
:涼ちん大丈夫????
:《モカP》落ち着け皆の衆
:モカP!
:モカPだ!
:モカP光臨!!
:モカP落ち着いてるの??
:《モカP》涼は美味しいモノに感動すると顔が光る
:Way?
:おまえはなにをいってるんだ?
:モカP?
:モカPも混乱してる?
:モカP精神安定剤いる?
:《モカP》いや正気だから マジなんだって! 信じて!!
:またまた~
:いやいや~
:モカPが真実を言っていると仮定した場合
:え
:いや、まさか
:涼ちん、二口目いった!
:は
:なんども舐めてる!!
:三口目!?
:舐めるたびに顔の輝きが増して……!?
:え? まってマジで?
:湖だぞ
:モカPの話は真実……?
:しかも白から金にグラデして
:そんなに?
:SAIからコップとりだした!?
:めっちゃすくって飲んでる……!!
:《モカP》涼、おみやげにその水よろしく!
:モカPズルい
:うらやま
:涼ちゃんやめられない止まらないモード入ってない?w
:クッソめっちゃ気になってきた
:輝き方がスゴくなってきた!www
:食レポぷりづ
:味は?
:涼ちん?
:コメントに反応してww
:おーい
:涼ちゃんってば
:反応がないwwww
・
・
・
などと、コメント欄が盛り上がる横で、涼は顔を輝かせながら、コップですくった黄金の水をコクコクと飲んでいた。
「ふー……これ、めっちゃ美味しい」
恍惚とした表情で呟く涼。
その横顔をしっかりとドローンが撮影していたので、湖の水とは別ベクトルにコメント欄が騒ぐ。
:エッッッッ
:やば
:そんな恍惚するほど?
:顔が良い
:輝いて美人度二割り増し
:眩しすぎて顔が見えん
:モニターの輝度変えろよ捗るぞ
「あ。味わってないでどんな味か言わないとですよね」
ようやく正気に戻ったのか、涼はドローンの方に向いた。
顔の輝きも落ち着いてきている。
:それな
:どんな味?
:気になる
「ぶっちゃけちゃうと、冷製コンソメスープです」
:マジか
:においの通りだったのか
:チキンかビーフか
:あるいはそれ以外か
「チキンの風味は強めですけどビーフの感じもするのでダブルだと思います。しかもめちゃくちゃ美味しいやつ」
:《モカP》おみやげよろしく リア友の分もね
「モカP了解。配信見て騒いでるリア友の分も了解」
:いいなー
:でも騒ぎたいのはわかる
:騒ぐといえばディアちゃん
:ひたすら騒いでるなww
:ズルいズルい言ってるww
:俺ら以上にモカPやリアフレ氏に嫉妬してるの草
:何が大角ディアをあそこまで駆り立てるのか
:ダンジョン食材に興味ありすぎるww
水筒を取り出して、湖の水を取っていく涼。
今回はコンソメだったが、何かしらの液体を採取する時の為に、事前に煮沸して綺麗にしておいた瓶などもいくつか持ってきている。
:ディアちゃんがレイク・コンソメ飲みたいって暴れてるなぁw
:レイク・コンソメwww
:勝手に名付けたww
「いいですね、レイク・コンソメ。
このコンソメの湖で採取したスープをそう呼びましょう」
:採用されたww
:探協やダン庁に提出する?
「あー……そうか、ギルドとかへの提出用の採取もしておきましょうか」
:高く売れそう?
「ボクは未成年なので……。
レイク・コンソメはレアリティ評価が現時点だと高そうだから、大した稼ぎにはならないかな……」
:レアなのに稼げない?
:なにいってんの?
:あー……未成年探索者保護法な
:↑何それ
:ザックリ言うと18歳未満の持ち込みは買い取り価格が下がる
:レアリティに反比例してな
:レアほどやすく買いたたかれるワケだ
:イミフ
:《モカP》学生特有のイキリ高難易度チャレンジへの抑止ですよ
:メリットが少なければ馬鹿な挑戦者減るだろ的なやつ
:あー
:うーん
:なるほど
:むーん
コメント欄の反応は、理解と納得とイマイチとでだいぶ割れている。
これに関しては制定された時から賛否両論だ。仕方ないとも言える。
:涼ちゃんやディアちゃんみたいな弁えてるやつもダメなん?
:クソ制度だと思うけど学生の行動パターンだとなぁ
:↑ダメだねぇ
:大人でもクソはクソだけどな
:変に例外の前例は作れないんだよ制度ってのは
「言いたいコトはだいたい言って頂いているので助かります。
まぁボクはこういうスタイルなので、あまり気にはしてないのですけどね。
それと、一応パーティを組んでいる場合は例外です。三人以上のパーティで、メンバーのうち半数以上が成人であるなら……ですが」
:それで調子ノッて厳罰くらったパーティあったけどな
:成人してようがダメなヤツはどうあってもやらかす
:あの事件に関しちゃガキの方が保護者ムーブしてたしな…
「まぁ……うん。はい。あの事件に触れられるともう何にも言えないです」
:どんな事件なん?
:五、六年くらい前の事件だけど知らんヤツはしらんか
「えーっと、じゃあ――ザックリと」
当時の年齢で16~24歳のパーティで、16歳が唯一まともな子だったという話だ。
パーティメンバーの一人が成人式を終えたことで、七人パーティ中四人目の成人が誕生となった。
これで未成年を連れていっても買い取り価格が減額されないと、調子に乗って身の丈に合わないダンジョンの、さらに身の丈に合わないエリアで遭難したという事件である。
救助パーティが彼らの元へ向かった時、運悪く下層フロアに生息する強いモンスターが、遭難フロアへイレギュラーな出現した為、非常に危険な状態に。
結果として救助パーティに死傷者を出しつつも、遭難パーティは全員助かるということになってしまった。
そんな中でも彼らは悪びれることはなく。
外野からは最年少保護者という二つ名で呼ばれていた16歳の女の子だけが、助かったあとで各方面にひたすら挨拶周りをしていたという。
最終的にその子は仲間ともう付き合ってられないと離脱し、その子は家族ともども引っ越した。その後はどうしているかは不明。
「とまぁ、そんな感じです」
:うあー
:いやな、事件だったね…
:ニュース見覚えあるわ
:そういう事件だったのか
:《モカP》当時はまだダン配は流行ってなかった
:《モカP》それに彼らは配信者じゃあなかった
:《モカP》だけど配信者のノリは彼らとどこか似ている
:《モカP》そう感じてる探索者は配信嫌いな人多いのよ
:《モカP》もちろん単純に配信嫌いな人も少なくないんだけど
:そういうコトか
:モカP補足さんくす
:一般探索者とバッティングした時のアレか
:あー……いくつかの配信で見た変な空気はそれで
「モカPの補足の通り、当時を知っている人で配信に縁遠い人ほど嫌悪しているんじゃないかなと思います」
:涼ちんは?
:ずっとソロでやってるんでしょ?
:配信もモカPに唆されたって言ってたし
「あー……うーんっと、嫌悪は特に無かったですよ。自分でやろうって気はありませんでしたけど。
いろいろと話を聞いてみると、むしろいくつかの点では、配信が流行ってくれて良かったという面もあったので」
:良かった面?
「聞いた話によると、探索者という仕事そのものが、何をしているのか。
娯楽という形ではあっても、理解の一端になっていたそうですので。
その点に関しては、ボク個人は感謝している面があります」
:あー
:そうか
:確かにそれはある
:どういうこと?
「ようするにダンジョンと探索者のイメージ改善ですね。詳しく語ると長くなっちゃうので省略しますけど」
:聞きたいな
:涼ちゃん雑談配信とかしない?
「雑談配信? っていうのはよくわかりませんが、そういう希望があるなら、ちょっとモカPと相談しておきます」
レイク・コンソメの採取を終えた涼は容器をSAIに収納すると立ち上がる。
「のんびり喋っちゃってましたが、みなさんに見せたいモノを見せられました。レイク・コンソメの採取も終わりましたので、ぼちぼち帰りたいと思います」
:おk
:帰り道も気をつけて
:スニーキングの時間だー!
心配をしてくれたり盛り上がったりしているコメント欄を見た涼は小さく微笑む。
それから、ドローンの頭頂部に触れてコメント欄を閉じると気合いを入れる。
「よし。それじゃスニーキングタイムをはじめましょうか。
安全第一で、帰路につくとします」
そうして、涼は無事に帰還し、今日の配信を終えるのだった。
===この配信は終了しました===
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【Idle Talk】
大角 ディア
「レイク……コン、ソメ……!! レ、レ、レ、レ、レレ・レレ、レレ、レレイク・コン、ソメ!!」」
鰐浜 白凪
(……香さんからグラスコッコとレイク・コンソメのお裾分けしますというメッセージを頂いてますが……もうしばらく黙っておきましょうか……つながりを自爆しそうですし)
涼モカが名前を伏せているリアフレ=湊ちゃん
なお本人は気づいていない模様
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