7.雷精霊と「FC契約」して下さい。

男商人おっさん「ここは冒険者ギルドの1階エントランスだ。

    冒険業務(クエスト)の受発注や、貸金庫サービス、預貯金の受付窓口などがあるぞ」


女勇者「うわ、あの大きな天球儀みたいの何ですか!?」


男商人「あれは【精霊演算器-アバカス-】だ」


女勇者「精霊演算器!? ファンタジーオーラがすごいです!?」


男商人「ざっくり言えば、異世界のスパコンだな。

   エルフの精霊術とドワーフの錬金術を融合した、金融管理システムだよ。

   あの中には、この異世界にいる全冒険者の銀行口座データが記録されていて、

   日々の入出金処理をしているんだ」


女勇者「ほあぁ~なんかカッちょいいで――」


整備士「あの中で、たくさんの【雷精霊】が小さなソロバンを弾いて計算してるぞ」

雷精霊『ぱちぱちぱち…』

女勇者「かわゆい!?」



雷精霊『なんだコイツ、やんのかコイツ』

女勇者「わ、小っさな鳥が喋ってる!?」


男商人「おっ、女勇者は【雷の精霊】が見えるのか?

    この異世界にはいろんな精霊がいて、人によって見える精霊が違うんだ。

    精霊と仲良くなって【契約】できれば、属性魔法が使えるようになるぞ。

    火の精霊と契約すれば炎魔法、といった感じでな!」


女勇者「うわっなんですかその素敵なファンタジー設定は!?

    んもう~そういうのあるなら、もっと早く教えて下さいよ~!」


男商人「ちなみに【雷】は超レアな精霊で、雷魔法が使えるようになるぞ。

    まさに勇者って感じだな。もし話せるなら、契約できないか聞いてみな?」


女勇者「わほほーい! 雷の精霊さん、私と契約しよーよ!」


雷精霊『しゃーねえな……【フランチャイズ契約】してやんよ!』

女勇者「ふぁ!?」


男商人「雷魔法というブランド商品を使わせて貰うんだから、そうなる」


雷精霊『オマエ、今日からウチの【フランチャイジー(加盟店)】な?

    シノギ(魔力)よこせよ?』


女勇者「ヤクザだぁ!?」


男商人「ちなみに、使用料(ロイヤリティ)として魔力(MP)を支払った後、

    呪文詠唱で注文すれば、一番近くにいる精霊が【魔法】を届けてくれる。

    簡単だろ?」


女勇者「それウーバーイーツじゃん!?」


つづく。

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