第6話 健康診断


 結果的に高等部2年A組の出し物は執事喫茶に決まった。


「は!? ホンキで言ってるのかよ!」


 その結果に対して明らかに不満げな笠松

 

「大丈夫、女子も裏方としてちゃんと働くから」

「そういう問題じゃない! お前らもそれでいいのかよ!」


 と男子生徒達に呼びかける笠松


「まぁ去年休憩所で結構暇だったし、こういうのもよくね?」

「うんうん」

「なんだよ笠松ぅ、俺に負けるのが怖いのか?」


 しかし味方はゼロ


「ぐぬぬ……どうせ俺はサボるからなんでもいいけどよ」

「ダメだよ」

「はいはい、ダメね、分かりましたよ委員長」


 と花梨の発言にまともに取り合おうとしない笠松を見て花梨はキョトンとした顔をした。


「笠松くん、まさか聞いてないの?」

「なにがだ?」

「今年の文化祭に出席しなかったら大貫先生と笠松くんが同室になるって」

「は?」

「ど、同室!? 大貫先生って女だろ! お、おい笠松! この羨ましい奴め!」


 心ここにあらずの笠松の肩をグイグイと押す同級生


「大貫先生は大人だし男には興味ないしってことで無理矢理この案を押し通したらしいわよ」


 ハッと我に返る笠松


「ふざけたこといってんじゃ――」


 下校

 落合は柊に連れられ学校の中にある診療所へと向かった。


「昨日はゴタゴタしてて真くんの身体をまだ診れてなかったからさぁ、大丈夫だよちょっとチクッとするだけでぜんぜん痛くないからさ」

「は、はいぃ……」


 診療所の先生が落合を出迎える


「こんにちわ、私の名は七原(ななはら) サナリーというよろしく頼むよ落合君、早速だが君の魔力の系統と魔力回路に異常はないか確かめさせて貰うよ」


 落合は一通り普通の健康診断を受けたあと魔力の調査を受けた。

 

(ふーん、この機械を使って魔力の系統や回路を調べるのか……んー問題はなさそうだな)


 七原は落合をその機械に寝かせ、近くにおいてあったパソコンを使って遠隔で機械を始動させる


(そうだな、俺は火の系統の魔法が使える魔術師という事にでもしておこう、この機械のレベルなら簡単に誤魔化せる)


「系統は、火か、回路も良好だね、暴走の心配もない、うん、お疲れさま、検査はこれで終わりだよ」


 落合の思惑通りに事が進み無事、診療所を突破する事ができた。

 落合が診療所を後にすると柊と笠松が落合を出迎えた。


「よかったぁ、問題はなかったみたいね」

「はぁ、お前が羨ましいぜ……俺はこれから地獄の診察が待ってる……無事明日会える事を祈っててくれ」

「まぁまぁ笠松くん、昨日ほど辛い厳しい調査が行われる訳じゃないから大丈夫だよ! ファイト!」

「……はぁ」

「あとちゃんと文化祭は参加してね! 笠松くんの執事姿、私も楽しみにしてるんだから!」

「……はぁ」

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