冬休み編
第31話帰った後で
(ただいま)
(お帰り、濡れたでしょ)
母親がリビングから、声を掛けて来た。
(まぁまぁ)
(お風呂、入りなさい)
(はーい)
お言葉に甘えて、お風呂を頂く事にした。
(ふう)
湯舟に浸かると、雪で冷えた体が、まるで解凍される様に、暖まって行くのが、良く分かる。
(ふう)
さらに深く、湯舟に浸かって居ると。
(そうだ)
親に出すプリントがある事を、思いだした。
学校で担任が、あんなにも出せと、行って居た、物を今の、今まで忘れて居たとわ、我ながら、自分の記憶力の無さに驚く。
風呂から上がり、母親が居る、リビングに向かった。
(お母さん)
(はいー)
母親が手を止めて、こちらを見てきた。
(お母さん、後で進路調査票を)
(そうね、お父さん帰って来たらね)
母親はそう言いうと、また料理を始めた。
(ほーい)
母親に気持ちばかりの、返事をして、上の自分の部屋に荷物を持って戻った。
部屋に戻って、ベットに座って居ると、疲れからか、直ぐに眠ってしまった。
(晩御飯よ) (真二)
母親が下から、晩御飯を知らせる声で、目が覚めた。
(ほはようございます)
(あら、おはよう)
(早く目覚まして、座りなさ(笑))
( ほーい)
母親に言われるがままに席に座る。
テーブルには美味しそうな、晩御飯が並んでいた。
(美味そう)
(ありがとう)
(はい、ご飯)
(ごめん)
母親に米をよそって貰うなど、行ったい何年振りだろうか。
(良いのよ、寝ぼけて怪我でもされるより)
(食べましょ)
(頂きます)
(頂きます)
母親の作るおかずは、全部旨い。
特に今日のメニューの肉じゃがは、俺の大好物だ。
そんな大好物を食べた、おかげか食べ終わる頃には、体も元気になっていた。
(ごちそうさまでした)
(はい、お粗末様でした)
(美味しかった)
(美味かった)
(そう、なら良かった)
母親とそんな会話をして居ると。
(ただいま)
父親が帰って来た。
(お帰りなさい)
(お帰り)
母親に続いて、俺も父親に挨拶をした。
(おう、真二)
(父さん、進路調査票)
(おうそうか、もうそんな年だな)
父親は考え深そうに言って来た。
(ちょっと待ってろよ、風呂上がったらな)
そう言うと、父親は風呂の方に行った。
20分くらいしたら、父親が全身スエット姿で風呂から上がって来た。
(お待たせ、まぁ席に座るか)
父親に促されて、俺は両親と向かい合わせて、座った。
(それで、真二進学するのか?)
まずは父親が話し始めた。
(就職する)
(そうか)
(具体的に、どんな仕事したいとか、あるか)
続いけて、父親が聞いて来た。
(うん、鉄道関係に付きたくて)
(そうか、お前昔から好きだもんな)
(頑張れよ)
(うん、頑張るわ)
(しかし、真二が自分でな)
少しだけ、泣きそうなりながら、父親が話した。
(そうね)
母親もだ。
(ちょっと、何で泣いてだよ)
(まぁ、そのあれだ)
(あれじゃ、分からん)
(そりゃ、自分の道を自分で決めるのは、めちゃくちゃ、難しいだぞ)
(それを、自分の息子がやっている、それだけで、親は泣けるだよ)
全く家の、親は親バカだと思う、だがそのお陰で、助かる事が沢山ある、そんな事に、今日は少しだけ気付いた、気がした。
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