第3話 私、きしょくなったかも
「こんばんは~」
「WHITEの城崎ユメです」
「みなさん、なんとっ!!」
「WHITEのファンクラブ会員が30万人を突破しました~!!」
「ありがとうございます!!」
好きでも嫌いでもないこの仕事。
誰かが私を好きでいてくれたら嬉しいなって。
それは自分の学業を止めてでもやるべきことだったのだろうか。
母は全力で私のことを止めた。
「20歳を超えたら貴方の人生だけど、あなたはまだ子供。勉強しなさい」
城崎ユメとしてこの世界を生き続ければ、
いつしか嘘もバレる。
どのタイミングで活動に終止符を討つか分からなくなってしまった。
自分が人気になっていると自覚していくたび、
私のことが嫌いな人も増えてきた。
「量産型」
「これのどこがアイドル」
「城崎ユメ?一般人じゃん」
「この人アイドルイキっててキツい」
「最近ユメちゃん推し降りました」
「シンプルに無理」
私はアイドルじゃなかったのに。
ライブに出てしまったら、アイドルとして
世間に認知されてしまう。
私のリスナーは、
「ユメちゃんに認知された!」
「一生推す!!」
そんなコメントばかり。
そうやって承認欲求を満たしている。
あー、きしょいな私。
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