序章
向かうべき机も無く、僕はもうそれだけですごく嫌ではあるんだけど、無理やり机の上の物を押しやって、こうしてノートを広げている。ごくごくたまにあるこの瞬間は、いつだって僕の為にあって、僕を奮い立たせてくれて、そして僕を慰めてくれる。
まず一つ、誤解を解いておきたい。
僕が文章を綴る時、それは何かを昇華させる為であって、決してその中の登場人物に特別な思い入れがあるわけではない。
そう、彼に対する感情は、憎悪であったり、嫌悪であったり、呆れであったり、驚きであったり、様々な感情が入り乱れる中で、非常に残念ながら、感謝であったり、幸せといったようなプラスの感情は全く、湧き上がってこないのである。
様々な事を勉強してきたつもりではある。
自身と向き合う事について、幸せについて、愛について、それでも尚、彼がしてきた事については、どんな方法を取ったとしても、自分の中での解釈、かみ砕く事ができずにいる。
彼はここで2人しかいない、営業員の、後輩だった。
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