第42話 テスト返却
「んじゃ、テスト返すぞ」
テストが終わり次の週。今日はテスト返却の日だ。ついに来てしまったのこの日。俺はソワソンしてたまらなかった。
その理由はもちろんあの腹痛だ。結局あの後腹痛に耐えながらテストを受けたが、10分ももたなかった。後ろの方にあった選択問題は適当に選び、記述はもはや問題すら見ないで書いたところもあった。
てか、お腹が痛すぎて考える余裕もなかった。無念。
あの時、速攻トイレに走っていっで帰ってきた時の先生の顔は忘れられない。
こうして、俺は微かな希望にかけて俺はテスト返却へと臨んだ。
「4教科一気に返すから間違えがあったら模範解答と一緒に持ってくるように。一応点数が書いてあると思うが、書いてなくて赤ペンで×が書かれていたら補習だ。分かったか」
補習……本当に嫌だ……! お腹痛かっただけなのに……!! いやまだ諦めるな。帰ってくるまで分からないだろ。
なんだかんだ俺は運がいいし、なんかイケてる気がしてきた。
10分後……
間違い間違い間違い……ない……終わった……
無事、俺は魔法史のテストに大きく×と赤ペンで書かれ、補習決定となった。
一応、先生に抗議もしてみた。再試でもいいですお願いしますと。でも、「体調管理できないやつは補習だ」とあっさり返されてしまった。
くそぉ……ぐうの音もでん。
「なぁ! バッドのおかげで魔法史31点! 言語も運で何とかなって補習避けれたぞ……あれ?」
「あはは……良かったね……トム……」
「……そういえばそうだったな……駆け込んでたよな……ごめんな……」
「あはは……謝るなよ……」
見た感じシュナやグルドも補習は回避したみたいだ。ラミリエルさんも小さくガッツポーズしてるのが見えたから多分回避組だろう。ヒュームは言わずもがなだ。
俺だけ……か。くそっ! なんでだよ!!
こうして、テスト返却は終わった。
テスト返却の日は午前中で学校が終わる。俺はトムとグルドに連れられ食堂にいた。
「てかグルド? 一緒にあの魔力飯食べたけど……大丈夫だったの?」
「ん、あぁ。大丈夫じゃなかったぞ。気合いで気紛らわして耐えてただけだ」
「あははは! グルドすげぇな!」
嘘だろ……あの冷静さは痛みを紛らわす為だったって言うのか!?
……尚更悔しい。あぁ……補習かぁ……
「補習ってどれくらいあるんだ?」
「さっき聞いたら1週間だって。俺は魔法史しか落としてないのに全教科だよ」
ここで俺の点数発表だ。
言語▶︎81点、世界史▶︎72点、国語▶︎94点
なかなかの好成績だ。なのに何故だ? 全教科補習? やってられっか!!!
考えれば考えるほどあの魔力飯が……憎いっ!!
「まぁ……今日は飯奢ってやるから頑張れよ!」
「ありがとう……トム……」
今日の学食は今まで食べた中で1番味がしなかった。
──────
「じゃ、今日の実技は終わりだ。補習のやつは今日から教室に残るように」
魔法の実技が終わり、遂に補習が始まろうとしていた。
グルドとの一件があってから、俺は魔法のコツをつかみ、あの日ほどでは無いが小さな魔法が使えるようになった。
俺の得意魔法はあんまり見られない波動のようなものを飛ばす魔法であった。正直もっと魔法っぽいものが良かったけど……唯一無二、それも良い。
とか、考えてる場合じゃない。補習に行かないと……はぁ、嫌だなぁ……とか思うな! 決まってしまったものは仕方ない! やるしかない!
俺は気合を入れ、教室へと戻った。
帰りの
やっぱり俺だけかぁ……そうだよなぁみんな勉強できそうだもんなぁ……
次からトムに勉強教えるの辞めるか。
少し待つと、サラン先生が教室に戻ってきた。
「あれ、バッドだけか?」
「はい……てか、俺以外いるんですか?」
「えっとな……」
サラン先生が答えようとした時、教室の後ろのドアがガラガラ、と開く音がした。音の方向に目を向ける。すると、1人の生徒が入ってきた。
その生徒とは───
「エア……リス?」
「な、なによ……!」
そう。シュナの友達のエアリスであった。俺は何か勘違いをしていたみたいだ。彼女が一点を見つめていた理由。あれは余裕の表れではなく、諦めの表れであったのだ。
1人じゃなくて良かったぁ……ってやばい。かなり気まづい。このままじゃまた努力してないやつみたいになるじゃんか……はぁ、上手くいかないなぁ。
「よし、2人とも来たな」
俺とエアリスは席に着き、補習が始まった。尚、会話は全くしていない。
補習の構成は4日間授業、2日間テストと言った感じだ。1日につき1教科の授業を受け、確認テストを受けて合格なら補習終了、不合格なら追加でまた1週間だ。
そして一日目、言語の補習が始まった。
「まぁ、言語は2人とも良かったから軽くおさらいだけして今日は終わるぞ」
それから約30分間の授業を終え、サラン先生が出ていった。
どうしよう。ここは話しかけるべきか……あ。
悩んでいる俺には見向きもせず、ガラガラとドアを開け出ていってしまった。
やっぱり俺……嫌われてるよな?
こうして、先行き真っ暗な補習期間がスタートした。
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