　物語は、都市部で起こる連続餓死事件を追う刑事・米村と、彼を取り巻く超常現象に関わるラジオパーソナリティ・ラオの活躍を描きます。

　米村は餓死事件の捜査中、予知夢や悪夢に苛まれるようになります。その悪夢は日本の古典文学『伊勢物語』の作者・紀貫之が登場する幻影となり、彼に警告やヒントを与えます。米村はラオの協力を仰ぎながら、織田信長の亡霊やガンモドキ（幽霊狩りの妖怪）など、死者たちの復讐劇が巻き起こる闇の世界に踏み込むことになります。

　ラオは、ラジオ番組で聴取者から届く怪奇な体験談や都市伝説を扱っています。彼の人気コーナー「闇の声」では、リスナーから寄せられた「死ねよ」という言葉に呪われた人々の騒動や、彼らの闇への依頼が描かれます。ラオは米村と協力し、彼らが引き起こした因果応報の連鎖を断ち切るために奔走します。

　物語では、現実と超自然の境界が曖昧となり、怨念や魂の叫びが絡み合う狂気の世界が描かれます。米村とラオはそれぞれの立場から真実に迫りながら、死者たちの復讐に立ち向かっていく過程で己の過去にも向き合い、成長していきます。