昼のしくみ

三日月の

欠けた残りは

地球の裏側にある


手を廻せば届くのに

誰もとらない


子供には子供の時計

ラクダにはラクダのもみぢ


自分というのは

いるのが普通だと思いがちであるが

街なかを歩いていても

最初からいない者は多い

いる者がことさらいなくなるというのでなく

他人の服を着ていた者が英霊だったりする


猫の泣き声が稲光る刻

僧たちは並んで蜘蛛の巣を食べた


猫には夢をぶつけられぬように

まみれた夢は叩かぬように


思い出せない名前で

しがないあしたをとり戻す


ワニが食べるももいろのおいしいキノコ

算数の目つきのカエルふえる


… 三日月の

 欠けた残りは

 風呂屋の裏口にある


放火魔でごめんね?


風船とお茶を飲む

塗り遺された公園で

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る