第17話 俺と彼女と

しかし、それだけでは終わらずその後も次々に敵を薙ぎ倒していく姿はまさに圧巻としか言いようがなかったです。

あっという間に殲滅してしまったのを見て唖然としていると、いつの間にか隣に立っていた彼女が声をかけてきたんです。

それで我に返った俺がお礼を言うと、彼女は微笑んでくれました。

その表情はとても可愛らしく見えたんですが、同時に頼もしく見えました。

その後で俺達は再び歩き始めることになったんですけど、道中では色んな話をしましたよ。

例えばお互いのことや趣味とかについても話したりしていましたかね。

中でも一番盛り上がった話題といえばやはり恋愛関係の話でしたね。

というのも実は俺には好きな人がいるんですよ。

その人の名前はシルフィーって言うんですけどね、

その人は幼馴染なんですが、小さい頃からずっと好きだったんですよね。

だから、いつか告白したいと思っていたんですが、なかなか勇気が出なくて結局今まで言えなかったんですよ。

でも、最近になって、その気持ちが抑えられなくなってきてしまったのでどうしようか悩んでいるところだったんです。

ただ、問題はどうやって告白するかなんですよね。

正直言って自信がないんですよ。

それにもし断られたりしたらと思うと怖くて仕方ないですしね。

まあ、悩んでいても仕方がないので、とりあえず行動してみることにしますかね。

ということで、まずはデートにでも誘ってみようかなと思っています。

その後は、流れに任せればいいでしょうしね。

というわけで、早速明日にでも誘ってみようと思います。

そうと決まれば、準備をしないといけませんよね。

何せ初めてのデートですから、気合を入れて臨まないと駄目ですからね。

そんなわけで、今日は早めに寝ることにしましょう。

「ふわぁ」

大きな欠伸をしながら伸びをしていると、隣から声が聞こえてきたんだ。

見ると、そこにはシルフィー先輩がいた。

彼女は眠そうな目をこすりながらこちらを見ていたが、やがて目が合うと微笑んでくれた。

それを見てドキッとした俺は思わず顔を背けてしまったんだが、その様子を見ていた先輩はクスクス笑っていたようだった。

(うぅ、恥ずかしいなぁ)

と思いつつも、何とか平静を装っていると、不意に声をかけられたので振り返ると、

そこには先輩の笑顔があった。

その瞬間、心臓が跳ね上がるような感覚に襲われたが、必死に耐えて平静を装った。

すると、彼女は不思議そうな顔をしていたが、すぐに元の笑顔に戻ったのでホッとしたのだった。

「ねえ、君って好きな人いる?」

唐突にそんなことを聞かれたので驚いてしまったが、それでも正直に答えることにした。

先輩の顔が一瞬曇ったように見えたが、気のせいだろうか?

まあいいか、それより今は質問に答えないとな。そう思って考え込んでいると、ふとある人物の顔が浮かんできたんだ。

その人物とは、もちろん彼女のことだ。俺は意を決して伝えることにした。

「はい、います」

と答えた瞬間、彼女の顔がパアッと明るくなったような気がしたんだが、その直後には寂しそうな表情に変わってしまっていた。

どうしたのだろうと思っていると、突然抱きしめられたので驚いてしまった。

突然のことで頭が真っ白になってしまったが、しばらくすると落ち着きを取り戻してきたので、状況を確認してみたところ、

どうやら先輩に抱きしめられているようだった。

そのことに気が付いた途端、顔が熱くなるのを感じたのだが、それと同時にドキドキしてきたんだ。

そんなことを考えているうちに、段々と息が苦しくなってきたので慌てて離れようとしたが、その前に解放されたのでホッと胸を撫で下ろした。

しかし、まだ心臓の鼓動が激しくなっているような気がするんだが、これは一体どういうことなんだろうか?

「そっか、そうなんだ」

そう言って微笑む彼女の表情はどこか悲しげだったが、何故なのかは分からなかった。

それから暫くの間沈黙が続いた後、彼女が口を開いた。

「それじゃあ、私は先に行くから君も早く来てね」

そう言い残し、走り去っていってしまった。

俺は、その場に立ち尽くしていたが、いつまでもこうしているわけにはいかないと思い、急いで追いかけることにしたんだ。

(はぁ、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう)

そう思いながらも歩みを進めると、ようやく追いついたようだ。

「待って下さい!」

そう言いながら手を伸ばすと、彼女の腕を掴むことに成功した。

すると、驚いた顔で振り返った彼女は、俺の顔を見るなり顔を真っ赤に染め上げていた。

それを見た俺も恥ずかしくなってしまい、思わず俯いてしまった。

だが、このままではいけないと思い、思い切って話しかけることにしたんだ。

最初は緊張していたせいで言葉が出てこなかったが、何度か深呼吸をすることで気持ちを落ち着かせることができたので、ゆっくりと話し始めた。

「あの、さっきのことなんですけど、あれは違うんです! いや、違わないんですけど、なんというか、えっと、つまりですね、その、ああもうっ!  なんでこういう時に限って言葉が出てこないんだよ」

そう言って頭を抱えていると、突然頭を撫でられた感触がしたので顔を上げると、そこには優しく微笑む先輩がいた。

彼女は微笑みながらも頭を撫で続けてくれていたんだけれど、それがとても心地良く感じられたので自然と心が落ち着いていくのが分かった。

そして、そのまま身を委ねていると、次第に眠気がやってきたので、抗うことができずに眠ってしまった。

目が覚めると、そこはベッドの上だった。

どうやら夢を見ていたらしいが、どんな内容だったのかはよく覚えていなかった。

ただ、一つだけ言えることがあるとすれば、

「幸せな夢だったな」

ということくらいだろうか。

そんなことを考えながらボーッとしていると、不意に声をかけられたので振り向くと、そこにはエルナさんの姿があった。

彼女は笑顔で話しかけてきたんだが、何故か嫌な予感がした。

なので、恐る恐る聞いてみたら案の定というか、予想通りの言葉が返ってきたよ。

「ねえ、あなた、魔王にならない?」

それを聞いて思わず固まってしまったが、すぐに気を取り直して反論しようとしたところで、彼女に遮られてしまったんだ。

彼女はニコニコしながら話を続けていたんだが、その内容を聞いているうちにだんだん不安になってきたんだ。

というのも、その内容というのが、俺が勇者として召喚された世界とは異なる世界で魔王をやっていたという話だったからだ。

しかも、その際に多くの人間を殺していたというのだ。

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