燐光と汚泥の詩集

唯六兎

夜行

街は今

丸くなって

頑なになって

一つの意志となって

一匹の巨大な生物になる

あの明滅する常夜灯は

黒い猫の白い吐息だ

すると君は何か

寝静まるあの猫の従順な

しもべか何かか?

誰もいないブロードウェイ

華麗な細身の踊り子が

六車線道路の真ん中を

一人ゆらりとお歩きなさる

真赤な布地をひるがえす

遥かな反逆の道すがら

アスファルトの小さな足跡に

夜の恐怖は仕舞われて

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