1―10 中身はこちらです
翌日。
法人としての開業からまだ日は浅いが、元銀行員の
依頼の多くは高齢者が単身で住む住宅の水道修理や片付け、ネット環境の整備の他、引っ越しの手伝いである。
アクシデントの際に担当者が駆けつけるサービス付き高齢者住宅も年々増えてきているが、すべての人が入居できる訳ではない。家屋の損壊や家電製品の故障、ネットなど身の回りのトラブルに対応する専門業者も、すぐ対応してくれるとは限らない。この一因として、外国人も含めて
こうした背景から、日常の困りごとや相談に広く対応するサービスは(少なくとも小規模であれば)都内のビジネスとして成立する状況にあった。大々的に広告を打つことはない。「口コミと丁寧な仕事が次につながる」というのが
現に、普段事務所に在室しているのは
そんな中、土曜日の昼過ぎという時間に、調査を担当する探偵
スーツ姿で一人掛けの椅子に浅く腰掛ける彼の前には、テーブルを挟んでソファーに座る依頼人
テーブルの上には、昨日発見したリュックサックとその中身が並べられていた。
「リュックサックは、
宝箱の中身はUSBではない。
それどころか、中身が何なのか知る者はいなかった。
この世には。
歯を食いしばって、「息子の遺品」を見詰めていた。
2人は、これから「罪」と向き合うのだ。
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