趣向を変えた配信も、たまにはいいかもね
闘技場の中央で睨み合うのは、私でもミカツキちゃんでもなく、
総合ランキング1位と2位の決闘に、注目の一戦だと観客がざわつき出す。
こうなったのは、ほんの数分前に遡る———
♢♢♢♢
「ところでカローナよ、次の試合はせぬのか?」
「あー、ちょっと中断しちゃったからね……ミカツキちゃん、どうする?」
「うーん……」
「えっ、何その嫌そうな顔」
「だってお姉さん脳筋……まともに私に教えてくれないじゃん」
「うっ……」
「お姉さん、教えるの下手?」
「うぇぇぇぇぇんっ! ミカツキちゃんがいじめるよぉ!」
「カローナ、みっともないのじゃ」
「待って、追撃しないでティターニアちゃん」
なんか最近、こうやって被弾すること多くない!?
いや、別に教えるのが苦手なわけじゃないんだよ?
でも、ダンスだったら私の動きがそのまま見本になるし、基本的に全員がほとんど同じ動きだから教えやすいってだけで……ミカツキちゃんのバトルスタイルの説明が難しいわけで———
あれ?
それって教えるのが下手ってことじゃ……
「よし、配信どうする?」
「なんでそんな清々しく切り替えられるの?」
「いやぁ、喋れば喋るほどドツボにはまる気がして……一応視聴者さんも待ってるし、早めに再開しないと———」
ピロンッ! と通知音が響いたのはその時だった。
「んっ? メッセージ? えっと……あっ、
「確認しといたほうがいいんじゃない?」
「いいの? うーん……まぁミカツキちゃんがいいって言うなら……」
『決闘お疲れ、カローナちゃん。今VIP席に居るっぽいけど、次の決闘はしないの?』
『今ちょうどミカツキちゃんと相談してたところよ』
『ってことは、予定が決まってないってことかな? それならちょうどよかった。スターと決闘することになってたから、その様子を配信してほしいなって』
『別にいいけど……いつ?』
『今から』
「今から!?」
「どうしたの?」
「あっ、えーっと……うちのクランのクウ……じゃなくてMr.Qと、スターストライプさんが決闘するから、それを配信してほしいって」
「へー……えっ、その二人ってプロゲーマーって……」
「うん、しかも総合ランキング1位と2位」
「最高峰の戦いってこと?」
「そういうこと」
どうやらミカツキちゃんも興味津々な様子。
まぁ、プロの戦いにもなると、見るだけでも勉強になるしなぁ……最初から
悲しくなるからやめよう。
実際、
……別に見惚れてるわけじゃないからね!
っと、そろそろ配信再開しないと……バイノーラル機能、スイッチオン!
「フ———ッ♡」
・ッッッッッッ!?
・んぁあっ!?
・ぇあ゛っ
・カローナ様に息がっ、耳にっ!?
・あっ(昇天)
・ビックリした!?
●カローナ様のブーツ:[¥5,000] 好きです
●チョロリスト:[¥3,000] 助かる^~
再開早々、バイノーラルモードに変えたマイクに向かって優しくを息を吹きかけると、待っていた視聴者さんからのコメントが一気に加速した。
狙いました、ごめんなさい。
ノーマルモードに戻してと……
「皆さんお待たせしました! 配信の続きなんですけど、ちょっと
・Mr.Qから?
・1位と普通に繋がってるカローナちゃん
・同じクランだから……だよな?
・カローナ様が普通に名前で呼んでるって……
・いや、そんなまさかな
「いや、何もないからね? んで、どんな内容かと言うと……
・Mr.Qとスターストライプ!?
・1位と2位の決闘だと?
・それは確かに気になる
・それぞれ別の相手と決闘してるのはよく見るけど、その二人がぶつかるのって確かにあんまり見ないな
・カローナ様解説して
「私が解説? いいけど……やったことないし、多分下手よ? できる限りはやるけど……っと」
そんなことを言っている間に、
2人は一定の距離を空けて向かい合い、不敵な笑みを浮かべて対峙している。
「そろそろ始まるみたいね? じゃあ……2人とも世界トップレベルのプロだし、どっちに転んでもおかしくない一戦ね」
・カローナ様、解説下手か?
うるせぇ。
『Mr.Q vs スターストライプ、決闘開始!』
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