その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 40
まえがき
漢字が上手く表示されなかったらごめんなさい(_ _)
─────────────────────
『
「Gyuooooo———」
ピシッ———と小さな音は、
鱗が徐々に剥がれ落ち、体表から生えていたいくつもの触手も本体を離れて地面へと落下していく。
そして、セレスの【サクリフィシオ】を受けて使用不可能になっていた左側の翼すらも落ち、中から現れるのは白い龍。
それも、翼や屈強な脚があるような西洋のドラゴンではなく、長い身体に小さな手足がついた、東洋の龍の姿だ。
プレイヤー達が呆然とその姿を見上げる中、翼もないのにゆっくりと空へと浮かび上がった
その双眸に、はっきりとした意思を宿して。
「龍……王……」
「っ!?」
ボレちゃんから漏れたその言葉に、思わず彼の顔を覗き込む。
明らかに今までと違う雰囲気だとは思ったけど、あれが龍王だって?
「ボレちゃん、龍王ってどういうこと?」
「……いや、
『ドラゴン』という種族がいるということは、それを率いるトップが当然存在する。ボレちゃんの話では、それがあの東洋風の龍というわけだ。
「かつて我らドラゴンと
「そう……勇敢な王だったのね」
「王なのだから真っ先に逃げれば良いものを、バカな王だ」
「……なら何でそんなに悲しい表情をしてるのよ」
「悲しいのではない。これは怒りだ。……他の奴らも同じだろうよ」
「あっ……」
気付けば、ボレちゃんに乗る私の周りには他のクランメンバーが集まってきていた。
ドラグアグニとミカツキちゃん、テーラベレトとヘルメスさん、そしてアルルヴィオーネと
「ボレアバラムと協力して、
「私って結構やるんよ」
「ちょっとは謙遜したら?」
「まぁカローナらしいと言えばらしいが……」
『……オヤロ・コヌル・アニイサシハ』
突如として口を開いた
とてもじゃないが言葉として聞こえない文字の羅列だが、そもそもが
「死に損なった龍王の亡霊よ、ついに言葉まで忘れたか」
「もうこれ以上、苦しむ必要なんてないのよ」
『ウサ・ヲコワロ・ソノク……オモトロ・メラワ・ヘラワ、アドンエリソ・ヌウラ・ヘリク』
「貴方のことは尊敬していた。が……だからこそ、我らが止めるべきだろう」
「どっちにしろ、この世界はもうあんたがいるべき世界じゃねぇんだ」
言葉は通じていなさそうだけど、これだけは分かる。
互いに、
『エソロ・コウェラワ!』
世界に轟く荘厳な声と共に、
———【叫ブ空ノ慟哭】———
「それは何度見ている! 【カタストロフィ・ストーム】!」
当然、
天を仰いだボレちゃんが放つ翡翠色の旋風が空を覆う雲に突き刺さり、暗雲をかき消していく。
「ボレちゃんナイス」
「いや、まだだ!」
声を上げたのは
視線の先では、散り散りになった雲が若干青みを帯び始め、周囲の気温が大きく下がる。生成され始めた五寸釘のような鋭い雹が、その切っ先を地上へと向け……
———【
「【プロミネンス・バースト】ォォォッ!!」
すかさず熱波を放ったドラグアグニが冷気を吹き飛ばし、分厚い雲を完全に消し去る。
再び昼に戻ったかのように夜を照らすその姿は、まるで小さい太陽のようだ。
しかし次の瞬間、そのドラグアグニすら飲み込まんとする強い光が、天から降り注ぐ。
プレイヤーどころかドラゴン達ですら焼き殺さんと照り付けるそれは、厄災の『晴』。
———【燻ル空ノ憤懣】———
「私がやるわ。【タイダル・ウェーブ】!」
アルルヴィオーネを中心に、渦を巻くように瀑流が放たれる。
瞬く間に空を覆った水流は照り付ける太陽の熱を中和し、その猛威を収めていく。
問題は、再び発生した雲だ。
光が弱まり再び闇が訪れた空を覆う、分厚い雲。
それは次第に捻じれ、つららのように下に向かって伸び、次第に幾条もの竜巻となって襲い掛かる。
———【
「まだ来んのかよっ……!」
「全員、伏せよ。【リソスフェア】!」
ゴゴゴ———と大地を揺るがす地響きと共に、テーラベレトにより生み出された岩が、徐々に頭上を覆っていく。まさしく私達を覆う岩盤となったそれは、
凄まじい威力なのだろう。
壊れては再生し、また壊れてを繰り返し、もはや岩と呼べなくなるまでに粉々に砕けたころ、ようやく
静けさが辺りを支配する。
空に浮かんでいた月はゆっくりとその姿を隠し、月明かりすらなくなった周囲には、完全な闇が訪れた。
いつ来てもおかしくない、
「いや、これは……!」
いつの間にか、隣にいた
それどころか、自分が乗っているはずのボレちゃんの気配さえ。
周囲を闇に包み込む
———【
連続で繰り出される
それはかつて、空を支配した竜王の御業。
たった一度でも受ける手を違えれば即座に戦線が崩壊する、必殺の神罰である。
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