第91話 家を借りよう
「起きるにゃカイン。早く起きないと折角の休日が無駄になるにゃ。」
「ん~ラック・・・あと5分。」
「あと5分って言うヤツが5分で起きたのを見た事ないにゃ。それに5分寝たって何も変わらないにゃ。だから早く起きるにゃ。今日は家を見に行く約束にゃ。」
「ん~・・・あと5分。」
「ごにゃごにゃ言ってないで起きるにゃーーー!」
ラックは、カインのベッドにダイブした。
「うおっ!?」
カインはラックが飛び乗ってきた衝撃で一気に目を覚ました。
「起きたにゃ。さあ早く準備するにゃ。今日は家を見に行く約束にゃ。」
「わかったよ。ちょっと待ってよ、すぐに準備するから。」
(まあ今日の休みをラックは楽しみにしてたもんな・・・ってまだ朝の7時じゃん!?不動産屋開いてるのか?)
カインはすぐに準備して、ラックとともに宿屋を出た。
「カイン、お金はちゃんと持ったかにゃ?折角良い家があってもお金を忘れたら家が買えないにゃ。」
「大丈夫だよ。お金はアイテムボックスの中に入ってるから。それに家は買うんじゃなくて借りるんだぞ。さすがに購入は手が出ないだろ。今の手持ちが金貨150枚だから予算の範囲内で頼むぞ。」
「アタシにまかせるにゃー。カインと二人でまったり過ごせる家を探して見せるにゃ。」
そうして、カインとラックはギルドに聞いていた不動産を扱う店へと到着した。中に入ると恰幅の良い某ゲームに出てくるそろばんを装備した商人のような人が出てきた。
「おやおや可愛らしい方々ですね。今日はどうしたんですか?」
(おっ?この人は俺達の姿を見ても邪見にしないな。けっこうやり手なんだな。普通こういう異世界だったら見た目で態度を変える人も多いのに俺達をしっかり客と判断したのか?まあ先に冒険者カードを出して予算も伝えるか。面倒なやり取りは時間の無駄だもんな。)
「家を探しに来たにゃ。アタシとカインはCランクの冒険者にゃ。お金も持って来たにゃ。」
「ほ~。その年でCランクの冒険者ですか。優秀なんですね。はいはい。もちろん様々な家を取り扱ってますよ。え~っとカイン様と・・・」
「アタシはラックにゃ。」
「ラック様ですね。どういう家をお探しですか?購入なのか、賃貸なのか、大きさや立地、予算などご要望をお聞きしますよ。」
「買うのは高いから借りる予定にゃ。カインと二人で住むから部屋は2つ以上ほしいにゃ。お風呂に庭もあればうれしいにゃ。場所はお店が近くにある方が便利にゃ。」
「。そうですね~。それでしたらとっておきの物件がございます。お二人は冒険者という事なので、ギルドも近くお風呂に庭付きで部屋は10程ございます。つい最近出たばかりの物件なのでおススメですよ。」
「そんな良い物件があるにゃ?それはもうアタシとカインの為にあると言っても過言ではないにゃ。それにするにゃ。」
「まてまてラック。予算を伝えてないだろ?そんな良い物件が安い訳ないじゃないか?ちなみに費用はどれぐらいかかるんですか?」
「そうですね。ざっと月に金貨300枚程ですね。」
「300枚!?」
(だよな~。王都で庭付きでしかもお風呂付なんて言えば、基本貴族とか金持ちの家しかないもんな。金貨300枚か・・・金貨50枚までと思ってたけど、予算を優先するならだいぶ条件は妥協しないといけないかもな・・・場所が遠いのは歩けば済むから問題ないし、部屋数が少ないのも二人しかいないから問題ない。お風呂は絶対欲しいけど、お風呂がある家で小さい家なんて・・・あるかな??)
「おっちゃん。それは高すぎにゃ。アタシ達金貨50枚以内で探してるにゃ。」
「金貨50枚ですか。もちろんありますが、ラック様の要望には応えられないかもしれません。」
「ちなみに金貨50枚だとどんな物件になりますか?」
「はい。庭付きの物件はありますが、お風呂はありません。部屋の数は二部屋ありますが、王都の端になります。風呂付の物件となると集合住宅ですね。」
(さすが王都だな。金貨50枚って50万ガルだろ?家賃50万って東京だったらタワマンにも住めると思うんだけど・・・さてどうする??)
「どうするラック?」
「お客様はその年でランクCの冒険者という事は、それなりに稼いでいるかと思います。家というのは妥協すると、仕事にも影響します。ここは少し無理してでも要望を満たす物件を選んだ方が良いとは思いますよ?」
「カイン。アタシもおっちゃんの言う通りだと思うにゃ。」
(たしかにこの人の言う事も一理ある。風呂があるとないとじゃ、きっと冒険者活動にも影響は出るだろう。だけど金貨300枚・・・一週間がんばって金貨100枚稼いだとして、5週で500枚、六割も家賃で出ていくのは無謀だよな~。せめて金貨100枚か・・・)
「だな。でもさすがに金貨300枚はちょっと無理だ。金貨100枚ぐらいで要望に合うような物件はないですか?場所が遠いのはかまいません。庭と風呂がある家で部屋の数は少なくてもかまいません。」
「わかりました。私もプロです。お客様に合うピッタリの物件を探してみましょう。」
その後、カインとラックは、いくつかの物件を紹介してもらい、その中で一番気に入った家を借りる事に決めるのだった。
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