第68話 地下10階のボスはスケルトン戦隊!?
カインとラックは青亀ダンジョンの地下4階でテントを張って泊まる準備をしていた。
「カインの飛ぶ斬撃すごかったにゃ。道の向こうまでスケルトンを倒してたにゃ。」
「ああ、あれは驚いたよな。まさか貫通して壁まで行くとは思わなかったよ。」
「そういえばカイン、あの飛ぶ斬撃はなんて名前にゃ?」
「名前?」
「そうにゃ。技にはやっぱり名前がないと締まらないにゃ。」
「なるほど名前か・・・考えてなかったな。俺そういうの考えるの苦手なんだよな~。なんか良い名前あるか?」
「死神のアニメの主人公が使ってヤツはどうにゃ?黒い斬撃は黒刀と相性が良さそうにゃ。」
「いやそれなら三刀流の剣士だって、飛ぶ斬撃に名前つけてたじゃん。同じ名前っていうのはちょっとな・・・あっ定番だけどスラッシュでどうだ?異世界モノの小説なら良く出てくるだろ?」
「まあ・・・それでいいにゃ。アタシは飛燕斬りとか、昇竜斬りとかの方がカッコよくて好きにゃ。」
「それは飛ぶ斬撃と関係ないじゃん。まあなんか良いネーイングがあれば言ってくれよ。随時受付中だから。」
「わかったにゃ。そういや明日からはどうするにゃ?まだまだ魔物が弱いから今日みたいに自由に狩って行くにゃ?」
「いや連携の練習もしたいから、明日はその辺を試して行こう。地下10階のボスまでは自由にしても問題ないだろうけど、何があるかわからないからな。弱い魔物の内に今の俺達の連携具合を確認しておこう。剣や盾持ったスケルトンとかも出てくるだろうし、対人戦の良い練習になりそうだからな。」
「わかったにゃ。明日は地下10階まで行くにゃ?」
「そうだな~。下に降りるワープゾーンの見つかり具合にもよるけど、行けるなら進んだ方が良さそうだな。この辺りの魔物は弱いから、試し斬りとか連携の確認には良いけど、訓練として見たら弱すぎるからな。」
(まあ実際は地下20階を超えるまでは、練習みたいな感じになるだろうな。俺がレベル40でラックがレベル30だし、この辺りじゃ何体倒してもレベルすら上がらない気がする。魔石を集めたら金にはなるから無駄にはならないだろうけど、強くなるにはレベルを上げる方が早いからな。地下10階で帰らずに地下20階までは通しで行った方がいいかもしれないな。)
ラックが先行して魔物を見つけては、連携の確認の為にラックが前衛、カインが後衛のスタイルや、両者が前衛のスタイル、ラックが注意を引き付けてカインが魔法で倒したり、カインがスラッシュを放って、ラックが止めを刺したりと考えられる事を一通りこなしながらもドンドン進んで行った結果、地下10階までたどり着く事ができた。
「ここのボスは何が出るにゃ?」
「ラックって俺と一緒にダンジョンの情報聞いてたよな?」
「このパーティの頭脳担当はカインにゃ。だからアタシは聞いてなくても問題ないにゃ。」
(そんな事してたらその内、脳筋猫って呼ばれるぞ?そうなってからじゃ遅いけど、良い薬だし注意するのはやめておくか。)
「地下10階に出る魔物はスケルトン戦隊スケルトンジャーだ。」
「そのダサい名前はなんにゃ?」
「いやいや俺が付けたんじゃないからな。ギルドでそう言ってたんだよ。」
「もしかしてスケルトンに色がついてるにゃ。」
「正解だ。赤、青、緑、黄、桃の5色だ。つまり5体の色違いのスケルトンが出るらしい。」
「それはおもしろそうにゃ。それぞれ特徴とかはあるのかにゃ?」
「ない。」
「ん?・・・なんていったにゃ?聞こえづらかったにゃ?」
「特徴はないんだってさ。色が違うだけで5体とも剣と盾を持つ普通のスケルトンらしい。」
「色が違うだけってそれただのネタキャラだにゃ。」
「ギルドではそう言ってたから間違いないと思う。特殊能力を持ってる可能性もあるかもしれないが、今までに使った事があるならギルドに情報が残ってるはずだからな。」
「なんか急にやる気がなくなったにゃ。カインにまかせたにゃ。」
「一緒に倒さなくていいのか?」
「いいにゃ。というか戦隊モノで、もし敵のスケルトンがポーズを決めるなら、その間にカインがスラッシュを使えば終わりにゃ。この辺りの魔物なら、連携する間も無いはずにゃ。」
「まあそれはそうだけど・・・」
「一応話のネタとして、どんな感じのスケルトンなのかと、どんなポーズを取るのかは確認するにゃ。でも見たらすぐに倒して下に行くにゃ。ネタキャラに構ってる時間はないにゃ。」
「・・・そうだな。」
カインとラックは、地下10階へ向かうワープゾーンに入り、ボスと対峙した。ギルドでの情報通り、目の前には骨が赤、青、緑、黄、桃の色をしたスケルトンが横一列に並んでいた。
カイン達を見つけると、それぞれがポーズを取り始めた。
「やっぱりポーズを取り始めたにゃ。きっと最後に集まって決めポーズするはずにゃ。そこにスラッシュ放てば一撃で終わりにゃ。」
ラックが覚めたように淡々と告げた。
(それでいいのか?決めポーズ中に攻撃するのは反則では・・・。ってそれはテレビの中の話か。そんな事してる方が悪いだろ?言われて終わりだな。うん。ラックの言うように固まったらまとめて倒すか。)
目の前のスケルトン達がポーズを取りながら中央に集まり、5人でポーズを決めた。そしてそのままカインのスラッシュを受けて魔石へと変わるのだった。
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