第61話 冒険者活動の再開
シフォンケーキを購入し、色々と町を見て回った翌日、カインとラックはギルドへと来ていた。冒険者として活動をしていかないとお金がドンドンと減っていくからだ。
「とりあえずどんな依頼があるか一通りボードを見て確認しよう。この町はダンジョンもあるし、冒険者の数も多い。どんな依頼があるのか確認して、良さそうな依頼を選ぶぞ。早めに稼げる依頼を見つけないとシフォンケーキで破産する可能性もある。」
「わかったにゃ。」
カインとラックは壁に貼られてる依頼を一つ一つ確認していき、どんな依頼があるのかを調べて行った。
(ニワトリコッコか・・・どこの町にも常設依頼ってあるんだろうけど、うまい具合に魔物が違うな。普通どこの町に行ってもゴブリンとかラビットとかが常設依頼であるもんだと思ってたけど、町によって特色があるんだな。)
ギルドには常設の討伐依頼というのがある。これは、どのような時でも魔物を倒せば報酬が得られるというモノである。
人気のモノから順に、左から貼られて行くので一番左に貼ってある魔物がそのギルドにとって一番処理したい魔物という事になる。
ゴブリンやラビット、オークなんかも常設依頼にはあるが、こういった魔物はどこにでもいるので、貼られてる場所は右の方になっていた。ちなみにオルスタインでは一番左がゴブリン、フロリダではハニービー、シフォンではニワトリコッコになっていた。
(討伐依頼以外に常設の採取依頼も薬草とともにニワトリコットの卵もあるんだな。たしかにシフォンケーキがあれだけ売れるんだ。卵の消費量もヤバいだろうな。そう考えるとそれだけニワトリコッコがこの町周辺に生息していて、それだけの卵を産んでいるって事か。どちらも銀貨1枚と金額は高くないけど、ニワトリコッコを倒して討伐証明で1枚、卵もあれば2個か3個はあるだろうから、銀貨3枚、ニワトリコッコって鳥だから魔物自体も素材になるだろうから、それを売って更に銀貨1枚か2枚・・・うん。意外に良い稼ぎになるかもしれないな。)
「ラック。常設依頼のニワトリコッコの討伐と卵の採取の依頼を受けてみようか。多分卵はシフォンケーキの材料に使われてると思うんだ。町の基礎となってる食材だから手に入れて損はないと思うぞ。」
「わかったにゃ。アタシはそれでいいにゃ。」
「それじゃ詳しく聞いてみるか。」
カインとラックは、ニワトリコットの常設依頼について受付に行き、詳細を尋ねた。
「お二人はシフォンに来るのが初めてなんですね。わかりました。私がお教えしましょう。なんとですね~。ニワトリコットはその名の通り鶏の魔物です。お二人はこの町の名物シフォンケーキをご存じですか?ニワトリコッコの卵はシフォンケーキの材料になっており、ギルドでは制限なく卵を買い取ってます。ニワトリコッコは数も多いので卵も多く生むんですが、卵は3日経つと孵ってしまうんです。だから常設依頼として卵の早めの回収と、生まれたニワトリコッコの討伐をしてる訳です。」
(なるほどな~。3日で卵から魔物が生まれるなら、毎日誰かが卵を回収していかないとそれこそ無限に増えていくな。いやでもゴブリンやハニービーと違ってニワトリコッコは素材も有効利用できるはずだ。別に卵にこだわらなくても魔物だって人気なんじゃないのか?まあ肉よりも卵の方がシフォンケーキだけじゃなくて料理にも使うから使用料は多いんだろうけど・・・家畜と違って魔物だから数が増えるとそれだけで脅威って事かな・・・)
「そうなんですね。俺達もここに来てシフォンケーキを食べましたが、とても美味しかったです。その材料の卵に興味もあるしこの依頼を受けようと思うんですがニワトリコッコはどこに生息してるんですか?」
「ありがとうございます。常設依頼で数をこなさないと報酬も少ないので、受けてくれると助かります。それで生息場所ですが、シフォンの町の周辺なら少なからず生息はしています。ですが、主に住んでいるのは、トットリの森にいます。」
「トットリの森ですか?」
「はい。シフォンから見て東側の門から出てまっすぐ行くとある森です。奥に行くと上位種であるコカトリス、更に上位種のバジリスクがいるので、そこで狩りをするよりも他の草原とかで狩りをする方が安全です。」
「大丈夫にゃ。こう見えてアタシはDランクだし、カインはCランクの冒険者にゃ。」
「えっ!?そうだったんですか・・・若いからてっきり駆け出しの冒険者かと思いました。それなら大丈夫かもしれませんね。一応コカトリスとバジリスクは相手を石化させるので気を付けてください。トットリの森には他の冒険者も巡回してますから石化したとしても助かる方もいますが、絶対ではありませんので。」
(上位種に石化か・・・俺は元気100倍アンパン君の状態異常耐性があるから大丈夫だけど、ラックはそうじゃないから何かしら対策をしないとな・・・)
「その石化は防いだり、なった時に回復するようなアイテムはあるんですか?」
「もちろんです。キュアポーションという石化を回復するポーションがあるので、森に行くときは必須です。先に飲んで置けばまる1日石化にかかりませんし、石化してもキュアポーションをかければ石化は直りますよ。まあ一つ金貨2枚するから高いですけどね。」
「それは高すぎるにゃ。」
「でも安全には変えられませんから・・・」
その後も町の周辺に出る魔物について聞いたカインとラックは、早速キュアポーションを2つ購入し、トットリの森へと向かうのだった。
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