第28話 ダンジョンは・・・亀?
新しい神の奇跡を開放させたカインは、ダンジョンに向かっていた。
(ダンジョンに行くのも久しぶりだな。そういや~俺が記憶を取り戻した日以来か。あそこで金貨を拾って、間違って金貨を寄付したからこそ今があるんだよな。そう考えれば、ダンジョンは俺にとって良い場所なのかもしれないな。)
「見えて来たよ。あれがダンジョンだ。」
「あれがダンジョンにゃ・・・カイン。あれがダンジョンにゃ?アタシには巨大な亀に見えるにゃ。」
そう、街を出て、いつも向かう草原や森とは逆方向に進むとダンジョンがあるのだが、この世界のダンジョンは、大きな亀の形をしている。全長100mもある巨大亀だ。背中には亀の特徴である甲羅があり、色は緑なので緑亀だ。全長100mもあるので、甲羅の高さも50mから60m程あるだろう。その甲羅には何人かの人が乗っていてブラシで甲羅の掃除をしていた。
「あの亀がダンジョンなんだ。亀の顔が入口になっていてね。どういう訳か。中に入ると別空間に飛ばされるのか。中はダンジョンになってるんだ。」
「不思議にゃ。甲羅に乗ってる人は何にゃ?」
「あれは多分駆け出しの冒険者か、何かしたら罪を犯した冒険者だと思う。甲羅を掃除してるんだ。甲羅をキレイにすると、ダンジョンからのドロップ率が上がるって話だからね。」
「巨大な亀の甲羅を掃除するにゃんて、かなりの重労働にゃ。」
「俺も掃除した事あるけど、かなり大変だったよ。しかも一日掃除して報酬は銀貨2枚だからね。」
(俺も何度か掃除したな~。まあ記憶を取り戻す前の話だけど、記憶が戻ってから改めて見てみるとホント不思議だよな~。ダンジョンが亀って・・・しかもダンジョンって下に下に降りて行くのに、亀関係ないじゃんって思うよな。)
ふと、目の前の巨大な亀が気になったので、カインは、詳細を鑑定してみた。
名前:ジョン・亀五郎
この世界にダンッとそびえ立つ巨大なジョン・亀次郎は、中に入ると別の空間へと飛ばされる。そこは、魔物が現れ、宝箱という名の素敵アイテムが入ってる箱が現れるアトラクション施設。ジョン・亀五郎は、兄妹の中でも末っ子だ。皆が略してダンジョンと呼ぶこの亀の経済効果はとてつもない。これは内緒だが、甲羅を掃除してもドロップ率は上がらない。しかし、綺麗好きなジョン兄妹はその事を誰にも伝えない。
(・・・。なるほど、ダンっとそびえ立つジョン・亀五郎を略してダンジョンって呼ぶのか・・・初めて知ったよ。しかも末っ子。亀五郎って事は、亀一郎、亀二郎って続くのか?たしかにこの世界でダンジョンが一つしかないって事はないだろうけど、全てが亀の形をしてるって事か。ダンジョン兄妹・・・予想の斜め上を行くのは、さすが異世界って感じだな。)
「どうしたのにゃ?」
「ああ、このダンジョンが気になったから鑑定してみたんだ。どうやらこのダンジョンは末っ子亀らしい。しかも甲羅を掃除してもドロップ率には何ら影響がないらしい。」
「末っ子にゃ?意味がわからないにゃ。」
「ああ。俺も意味がわからない。」
(たしかこのダンジョンは地下30階まであるんだったよな。日帰りならいけるのは精々地下10階ぐらいまでか。地下10階のボスを倒せば外に出るワープゾーンがあるってバニーさんが言ってたっけ。まあ能力がCなら最下層まで行く事もできるかもって言ってたし、ゆっくり攻略してみるか。ラックが言うようにお宝が見つかればお金も稼げるしな。新しく気配察知も手に入れたし、ここで色んな魔物を経験しておくのは今後のプラスにもなる。魔石がどれぐらい稼げるかはやってみないとわからないけど、普通に稼げるならしばらくダンジョン生活も悪くないかもな。)
「そんな事より早速ダンジョンに入って見るにゃ。どうせなら完全攻略したいにゃ。」
「さすがにそれは難しいな。ここは地下30階まであるからな。一日じゃとても一番下まではいけないよ。」
「ダンジョンの中で泊まれば問題ないにゃ。」
「どうやって泊まるんだよ。テントも何も持ってきてないぞ。」
「カインはアイテムボックス持ちにゃ。用意しようと思えばいくらでも準備できるにゃ。」
「そりゃそうだけど、寝てる時に魔物に襲われたらどうするんだよ?そんな場所で安眠なんかできないだろ?夜はぐっすり眠りたいし、寝る前には風呂に入りたいぞ俺は。」
「カインはわがままにゃ。なら、他の冒険者はどうやってダンジョンを攻略してるにゃ?」
「詳しくは知らないけど、パーティでダンジョンに行ってるなら交代で見張りをする。とか、魔物が出ない場所がある。とかかな。俺もその辺は知らないな。だけど安全地帯とかはダンジョンによくあったりするからそういう場所で寝泊まりしてるんじゃないか?」
「わかったにゃ。カインがボッチだから、何も知らないって事にゃ。」
「なっ!!ボッチで悪かったな。」
「アタシがいれば、他の冒険者から話を聞いて情報を集める事もできるにゃ。」
「ラックが人前で話すと気味悪いと思われるからダメ。」
「ならカインがしっかり情報収集するにゃ。カインがいつも言ってるにゃ。安全第一って。ダンジョンを攻略するにゃら、ダンジョンの情報が必須にゃ。」
「うっ・・・わかったよ。今日は地下5階ぐらいまで行ってみてダンジョンの感触を確かめよう。それでダンジョンの情報については、帰りにギルドでバニーさんに聞いてみるよ。」
「またバニーにゃ。カインはバニーにしか話しかけれないにゃ。」
「バニーさん。だろ。いいじゃん。親切にしてくれるんだから。ラックだってこの前バニーさんにミルクもらってニャーニャー言ってたじゃないか。」
「それはそれ。これはこれにゃ。」
「なんだよそれ。それよりダンジョンに入るぞ。ダンジョンの中は、外よりも多くの魔物が出る。俺の傍を離れるなよ。」
「了解にゃ。」
そうして、大きな亀の見た目のダンジョンにカイン達は入って行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます