第7話 初レベルアップ

ギルドで薬草10束とホーンラビットの報酬を受け取ったカインは日々のルーティーンである教会に向かってお祈りをした。もちろんいつものように寄付箱にお金はいれずに。


(薬草が5束で銀貨1枚だったから10束で銀貨2枚、ホーンラビットは解体料を差し引いて銀貨3枚か・・・解体を俺がしたら銀貨5枚ぐらいにはなるんだろうな。今日は寄付をしなかったけど、明日同じように薬草とホーンラビットを売れれば、明日銀貨6枚寄付してもいいかもな。次の神の奇跡がどんなチートかはわからないけど、俺にとってメリットがある事には変わりないもんな。今日だって今まで銀貨3枚の報酬が最高だったのに、いきなり銀貨4枚だったし。それに薬草はアイテムボックスの中にまだ100束はある。あっお祈りの次の神の奇跡のリクエストをすればそれをくれたりするのかな?元は試しだやっておこう。)


カインは神に祈りながら、次の神の奇跡のリクエストをした。


(女神様。ようやく前世の記憶を取り戻りました。アニメ感溢れる神の奇跡ですが、頂けて助かります。ありがとうございます。次の神の奇跡ですが、是非魔法が使えるモノがいいです。異世界と言えば魔法ですよね?今の俺には使えないので早く使えるようになりたいです。お願いします女神様。)


教会でのお祈りが終わると、いつもの飯屋へ向かった。


「今日はどうするのカイン?」


「今日はCセットにするよ。」


「おっカインにしては珍しいね。なんか良い事でもあったのかい?」


「うん。今日は運よくホーンラビットを倒す事ができていつもより報酬が多かったんだ。」


「それはよかったね。ホーンラビットね。もし今度捕まえたらここにもってくるといいよ。銀貨7枚で買い取ってあげるよ。」


「本当ですか?」


「本当だよ。ホーンラビットは味もおいしいし。うちが出してるシチューにも入ってるからね。」


「わかりました。」


(ホーンラビットが銀貨7枚か。これは助かるな。それにここだったら別に怪しまれないから毎日持ってきても良さそうだ。10日で金貨7枚。ひひひ、夢が広がるな~。)


出てきたCセットのシチューを食べながら、お金を稼いだ姿を想像するカインは、にやにやしながら一人食事をするのだった。


翌日、ギルドには向かわず、草原へと向かったカインは早速、魔物を探した。


(朝からギルドに行って嫌な思いする事もないもんな。もしホーンラビットを見つけたらそのまま、いつもの飯屋に行って売れば銀貨7枚もらえるし、そうでなくても今日、明日はギルドで依頼受けなくても生きていける。まあ寄付したらお金はすぐになくなるからすぐに行く事にはなるだろうけど・・・)


「とりあえず今日はホーンラビットを倒す事とレベルを上げる事を目標にしよう。といっても安全第一だ。死んだら元も子もないもんな。森には近づかない様にしてっと。神様には魔法をリクエストしたけど、魔物の気配がわかるような気配察知をリクエストすればよかったかな~。魔物を早く見つける事ができればそれだけお金も稼げるし・・・いやもしかして魔法を覚えたら気配察知ができる魔法も覚えるかもしれないか。あれだってたしか魔力をうすーく広げるイメージってラノベの本に書いてあった気がするし・・・」


しばらく草原を歩いていると、視界にホーンラビットが見えた。


「見つけた・・・けどあれはあっちも俺に気付いてるよな。どうする・・・」


視界に移ったホーンラビットが徐々に近づいて来た。


(覚悟を決めろ俺。やれる。やれるはずだ。突進してきたら避けてナイフを刺す。避けてナイフを刺す。避けてナイフを刺す。集中だ。集中。)


自らに言い聞かせナイフを強く握る。その間もドンドンホーンラビットは近づいてくる。走ってくるスピードからは目で追えるので、対応できると言い聞かせた。


ホーンラビットの角が迫ってくるが、カインは落ち着いてホーンラビットの角を避けた。避けてナイフを刺す。と思っていたが、大きく避けたのでナイフをホーンラビットに刺す事はできなかった。


(さすがに物語の主人公のようには行かないか。小さく避けないと、避けながらナイフを刺すのは難しいな。)


ホーンラビットは、振り返って再度突進してくる。一度避ける事ができたので、カインは余裕を持ってホーンラビットの攻撃を躱して行く。避けながらナイフを刺す事はできないが、徐々にホーンラビットの動きが遅くなってきたのが見えてきたので、ホーンラビットが突進した後、ダッシュで近づきナイフを突き刺した。


「ふ~。なんとか倒す事ができたな。勝手に自滅してくれた感じで助かったよ。俺は立ち止まったまま対処できたから体力もまだまだいけるし。この調子で行けばまだまだ倒せそうだな。」


草原で魔物を見つけるのが一番時間がかかったが、この日、カインはホーンラビットを3体とスライムを2体倒す事ができた。そして帰りながら自分のステータスを確認すると・・・


「よし!!レベルが2になってる。ようやくレベルが上がったぞ。」


カインは初めてレベルを上げたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る