第206話 敵? (6)

 僕の目は細めているけれど。


 冷淡な目と瞳に変わり。


 僕をこのどうしようもない異世界──。


 シネマやアニメ、マンガ、ライトノベルでよく描かれ、書かれている世界観の中世の異世界ではなく。


 こんな太古の世界へと召喚した。


 本当にダメな女神さまへと呻り、重たい口調で問うから。


 この場にいる将軍達や兵達が。


「健太、誰だ?」


「誰だ、この人は?」


「エルフのようだが?」


「若は、敵の集落に知り合いがいるのか? それも女性のようだが?」


「先生の事を、『あなた』と呼んでいるけれど。先生は、敵の集落に嫁がいるのか?」と。


 その他にも色々な言葉を僕へと尋ねてくる。


 その顔は、僕に対して苦笑いを浮かべる顔や、怪訝な表情へと変わるだけではなく。


 動揺、困惑をしながら僕の様子を窺う者達や。


 僕のことを冷たい目で見つつ、猜疑心のある顔で見詰める者達まででてきた。


 だから僕は、自身の顔色を変えてしまう。


 そう、あの時と一緒だ!


 僕がアイカの集落で漢戦士達から、麗しいアマゾネス達を独占したと。


 嫉妬心からくる憎悪で虐められた時の雰囲気と。


 この場の雰囲気が重なるから。


 僕自身も顔色を変えつつ、動揺を始めだすことはしない。




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