第54話 鎮静(3)
「サラ、わらわは、そんな事はない……。ないから……。ちゃんとあのひとの事を愛していた……。愛していたよ……。でも、わらわは、この集落の酋長だから……。家のひとだけを庇う訳にはいかないの……。それぐらいの事は分ってくれるわよね。サラ?」
「わかる訳ないじゃん! アイカ姉の言っていることなんて! 全部でたらめの、嘘偽りばかりの、只の言い訳だよ。アイカ姉の言っている事は……。只単に自分の好きなウォンを庇って、サラ達から大事な者を奪っただけじゃんかぁ! アイカ姉のしたことは……」
「違う! 違うよ! サラ! わらわは別にウォン等好きじゃない! 家のひとの事を愛していたよ。本当だから」と。
アイカは自身の首を振りながら。
サラの恨みつらみを込めた不満に対して言葉を返しつつ、姉妹喧嘩を続けていたらしけれど。
二人の姉妹喧嘩は長くは続かなかったみたい。
だってこの後に二人が。
そう僕の妻の残り二人プラウムとエリエが到着して。
「きゃぁあああっ! 健太さん~!」と。
プラウムが絶叫を放てば。
「ど、どうした、プラウム?」
エリエが驚いた顔をしつつプラウムへと尋ねる。
「け、健太さんが、死んでいる……」
プライムがエリエに僕が死んだと告げたらしいから。
「ウォン、貴様ぁっ! 私の御方を殺したなぁっ!」
そう、ウォンはあの集落で一番怒らせてはいけない者の、逆鱗に触れてしまったようだから。
この後はプライムからの魔法の矢──ライジングアローの攻撃を食らった上に。
エリエから一方的に殴る! 蹴る!
そう、僕におこなった行為と同じことを食らい続けたらしい。
◇◇◇
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