第6話 調査報告(4)
非難の声を上げかけたサザミをエミリオは小さく制した。
「ただ、一行が救世主を自称したという事実はありません。ヒースの村でも『亡くなった
トビアが苦い表情で息を吐く。
「何か声明の一つでもあれば、目的も分かりそうなものなのですが」
「分かることは二つ。エトラ領にいたことから、おそらくクウェンの人間であること。そして少数でありながら、カルマの
エミリオが口を閉ざすと、トビアが改めて全員を見回した。
「サリエートはその者たちに討伐されたとみて良いでしょう。この事実はカルマよりも先に、我々が報じなければなりません」
トビアの言葉に、サザミを含めた術師たちは渋い表情を見せた。
「しかし、そんな得体の知れない連中がサリエートを討ったなど……」
「軽率に公表するのは危険なのでは?」
「そもそも、俺たちがサリエートを倒さなければ世間の目だって今までと変わらないではないですか」
湧き上がる不満と
「──なら、
「はぁっ!?」
サザミが、いや他の術師たちも驚いた顔でエミリオを見た。
「お前、何言って……」
「だって今、アーシャ湖には俺たちしかいない。俺たちが聖都に報告して、それが世に公表されれば誰も異を唱えられなくなります。……でしょう、トビア様?」
腕を組んだトビアは視線だけでエミリオを促した。エミリオは一歩進み出ると、並ぶ四人の術師に向かって言った。
「もし、俺たちの報告を偽りだと断じる
そう言って
普段から毒にも薬にもならないふざけた態度を取ってきた同期が、使えるものは利用しろ、他人の手柄であろうと
トビアは組んでいた腕を解くと、小さく頷いて言った。
「全体へ向けての発表は明日以降に行います。本日はこれで解散としましょう」
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