第4章 楽しい夏休み
第66話 変わる日常
———我が家の前のアパートに学年一……下手すれば学校一とも言えるかもしれない美少女が引っ越して来た。
今日の夕方に起きたことだが、その衝撃は相当なものだった。
「———てなことがあったんだよ」
『は? 何言ってんのお前?』
だよな。
俺もさっぱり分からん。
因みに今俺と電話しているのは、違う高校に入学した親友の
こんな名前だが、別な重度のオタクではない……何なら陽キャなまである。
そんな奴が何故今まで話題に上がらなかったかと言うと、勿論あのクソ魔王には何度か電話したのだが、スマホを変えたらしくて全然繋がらなかったのだ。
それが最近になって『スマホ買え換えた。悪い笑笑』とか急に連絡きてガチギレしたのはつい先日のこと。
そんな我親友の魔王に雑談がてら言ってみたのだが、流石に嘘だと一蹴されてしまった。
「まぁそうなるよな。俺も自分で言っててマジで理解できてねぇんだわ」
『……ガチなん?』
「ガチ」
『……チッ、ズルすぎだぞゴラ。あーあー気分悪くなったし電話切るわぁ〜』
「普段からモテモテのお前が言うな———ってもう切れてるな……あのクソ陽キャめ。今度精一杯の煽りスキルを発揮させてやるわ」
俺はそう心に決めてから目を閉じた。
「瑛太君っ、一緒に学校行こうっ!」
俺が朝ご飯を食べて学校へ行く準備をしながらテレビを見ていると、突如玄関のインターホンが鳴り、朝から超元気で笑顔な芽衣が玄関に立っていた。
「お、おう……俺は別にいいんだが……早くね? まだ7時30分だぞ? なんかまだ悩み事でもあるのか?」
いつも俺達が行っているのは8時過ぎなので、30分以上早い。
俺が困惑の表情で芽衣を見ていると、芽衣は少し恥ずかしそうに頬を染めてブンブン手を振りながら否定した。
「な、悩み事なんてないよっ! ただ……」
「ただ?」
俺が聞き返すと、芽衣は更に顔を真っ赤にしてチラチラと俺を上目遣いで見ながら小声で呟いた。
「……瑛太君に早く会いたかったんだもん……」
「………………んん?」
な、何ですか、そ、それは?
え、芽衣さん、もしかして俺のこと好きなんですか?
でも芽衣って天然だからこう言うこと言うのもただ友達だからって言う視点を外せないんだよな。
俺は芽衣の呟いた言葉に動揺するも、何とか表面上だけは取り繕う。
「……どうする? ウチ上がってく? マジで何にもないけど……いや、やっぱり芽衣の家近いんだし家に———」
「是非お邪魔させて下さいっ! 私、瑛太君の家に入りたいなっ!」
俺が芽衣を家に帰らせ様としたのを一瞬で察知したのか、芽衣が捲し立てる様に言葉を放つ。
ただ、本当に焦っていたのか、目がぐるぐるしており、顔も真っ赤だ。
恥ずかしいなら言わなければいいのに。
今ならワンチャン素直に帰ってもらえるんじゃね?
そんなことを考えた矢先———運の悪いことに、中々戻ってこない俺を不審に思ったのか、リビングからひょっこりと母さんが顔を出し……芽衣とバッチリと目が合ってしまった。
芽衣を見た瞬間に、当たり前の様に母さんが騒ぎ出す。
「あらぁ! 芽衣ちゃんじゃない! 久し振りねぇ」
「はい、お久し振りです。あの時はお世話になりました」
「いえいえ、芽衣ちゃんみたいな可愛い子がウチに来てくれた方が瑛太が家に帰ってくるより何倍も嬉しいわ〜」
「おい実の息子の前でそれ言うなよ。喧嘩売ってんの? 間違いなく売ってるよな? いいぞ、例え母さんでも容赦なんてしないからな」
「ならアンタの新しいゲーム没収ね。次のテストで学年10位以じゃなかったら柚ちゃんに返却するわね。あ、勿論だけどお金は帰ってこないからね」
「ごめんなさい許してください。でも明らかに酷すぎんか?」
「母親舐めるんじゃないわよ」
そんなお互いを睨みながらバチバチに火花を散らし合っている俺達を見て、芽衣はとても楽しそうに笑っていた。
—————————————————————————
実は昨日が投稿開始から2ヶ月記念日だったらしい。
俺にしては毎日頑張ってるから褒めてくれると嬉しいなぁ……なんて。
戯言言ってごめんなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます