第2章 一緒に文化祭を回りたい美少女

第19話 テスト終わりは遊ぶよね

 ———1週間後。 


「———よし、これで地獄のテストも終わりだああああああああ!!」

「「「「「「「よっしゃぁあああああああ!!」」」」」」」


 クラスの誰がそう叫ぶと共に、クラスが途端に五月蝿くなる。

 ただ、今回は特に文句も何もない。

 俺自身、叫びたいくらいの解放感が身体中を支配しているからだ。


 いや、1週間マジで地獄だった。

 幾ら美少女2人と勉強会をすると言えど、勉強大嫌いな俺からすれば美少女を気にする間などない。

 ただ、2人のお陰で赤点は絶対に無いと断言出来るほどの点数は取れたはずだ。


 柚はゲームを一緒にして欲しいらしいからいいけど……姫野さんにも何かしら御礼した方がいいよな。

 正直文系科目は姫野さんに救われたし。


 そんなことを考えていると、通知オフにした俺のスマホが連続で振動するが、大方柚がゲームしようとか言っている気がする。

 アイツも俺にしか連絡しないとかボッチだよな(特大ブーメラン)。


 俺はスマホを取り出して通知を確認すると———



《ゆず:グループ作った》

《ゆずさんがあなたをグループに招待しました》

《ゆず:よろしく》

《ゆず:(猫が頭を下げているスタンプ)》

《芽衣:よろしくお願いします!》

《芽衣:(服にめいと書かれた女の子が『お願いします』と敬礼しているスタンプ)》

《ゆず:遊びに行こう》

《芽衣:今日はカフェ店でのバイトなのですが……》

《ゆず:じゃあめいのバイト先行く》

《芽衣:それなら多分大丈夫だと思います》

《ゆず:ん、えーたも行くぞ。強制》

《ゆず:(黒い笑顔の猫のスタンプ)》


 

「うーん……相変わらずの横暴さ」


 この図々しさ……メンタル雑魚の俺からすれば、もはや尊敬の念すら覚えるね。

 と言うかしれっと美少女2人のグループに入ってる俺って凄くね?

 きっとそこらの陽キャよりリア充人生送って……ないな。

 どうせ陽キャ達は可愛い彼女とイチャイチャしてるよな。

 

 俺が若干落ち込んでいると、更にL◯NEで《早く来い》との催促メールが届いたので、俺は気持ちを切り替えて、絶対に誘われないであろうクラス全員の打ち上げの話を聞きながら、そそくさと教室を抜け出した。








 俺が指示のあった正門前に行くと、柚が1人で待っていた。

 そのせいで周りの視線を集めているが、柚に話しかけようとする者はいない。


 相変わらず人気なのかそうじゃ無いのか分からん奴やなぁ……と思っていると、柚が俺に気付いたらしく、此方を見ては露骨に腕を組んで仁王立ちになった。


「———ん、遅い」

「これでも早く来た……わけでも無いな」

「ん、えーたの奢り」

「嫌に決まっ———別にいいぞ」

「……えっ?」

「おい、流石に失礼すぎないか? 俺のことを何だと思っているんだね君は?」


 俺が素直に受け入れると、何故か柚が驚きに小さな声を漏らした。

 結構失礼な柚に俺は即座にツッコむが、すかさず反論された。


「ん、面倒くさがり、甲斐性なし」

「ぐっ……甲斐性なしはしゃーないだろ! こちとら高校生やぞ! と言うかあんな何千円もポンポン出せる柚がおかしいんだよ!」

「ん、五月蝿い。めいは先行ってる。さっさと行こ」

「切り替え早いなおい……」


 相変わらずマイペースな柚に俺は大きくため息を吐く。

 それと同時に周りの視線が柚だけでなく俺にも向いていることに気付いた。


「……アイツ……最近話題の屑野郎だよな? 何でも姫野ちゃんにまで手を出してるらしいぞ?」

「うわっ……アイツファンクラブが怖く無いのか……? 俺なら速攻手を引くぞ……」


 ファンクラブ……?

 え、何それ? 

 2人にファンクラブなんていたのですか?

 

 それにさっきの男子の口ぶりからして、ファンクラブは2人に近付く奴を消して回っているらしい。

 

「……うん、もう考えない様にしよう」


 俺は考えるのを諦め、目の前の幸せな時間のことを考えることにした。

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