第17話 図書室で二大美少女と。

 ———放課後。

 クラスでは皆か何かしらテストに関係することを話しており、俺に近くの男子達の話声が聞こえて来た。


「なぁお前さ……今日どうする?」

「あ? そんなのテスト勉強に決まってんだろ馬鹿野郎! 怠いわぁ……」

「だ、だよなぁ……くそッ……今日は彼女とデートだったのに……」

「俺もだよくそッ……」

「いや、彼女に教えて貰えばいいじゃん。俺はそうして貰うけど? と言うかお前らの彼女も頭いいじゃん」

「「はっ!? そ、それだ!!」」

「………………」


 ……何だろう。

 ただクラスメイトの会話を少し聞いただけなのに、物凄く気分が悪くてイライラする。

 アイツらの勉強会に乗り込んで、俺の美声で歌でも歌って場を荒らしてやれば気が済むだろうか?


「いやだめだ、だめだめ! 俺には学年の美少女であり、皆が羨む柚と勉強するんだ。あんなの放っておけばいい……」


 俺は必死に自分に言い聞かせて心を落ち着かせようとするも、今度は逆に緊張してしまう。

 友達とは言え異性と勉強する日が来るなど微塵も考えていなかった弊害かもしれない。


 余談だが、柚から既に『図書室集合』とのL◯NEを貰っている。


「ふんっ、運が良かったな……俺が柚に断られてたら間違いなくこれじゃ終わらなかったぞ」


 俺は、クソ気分の悪い会話をする男子達を陰から睨みつけた後、コソコソと誰にもバレない様に図書室に向かった。







「本当に居るんだろうな……? ドタキャンだけは止めてくれよ……」


 ウチの学校の図書室は、図書室と言うよりは教師の目を盗んで飲食したりスマホをいじったりする、もはや自由室と大して扱いが変わらない。

 しかしテスト週間の時は、先生の監視が厳しくなるため誰も居なくなる。


 つまり———俺達の貸切になると言うことだ。


 俺は中に本当に柚が居るのか不安になりながらも覚悟を決めて、ゆっくりと、静かに扉を開ける。


 するとそこには———


「ん、ここが分からない」

「あ、ここですね。確かに難しい所です。文章を要約するには、まず筆者がどんな問題を提示しているのか。その問題を通して筆者が何を伝えたいのか。そして筆者の意見は何か、が重要になってきます。この文章ですと……」


 ———眉を少し顰め難しい顔をした柚と、自分の勉強をストップして、柚に丁寧に教えている姫野芽衣の姿があった。

 側から見れば『天才の妹に親切丁寧に教えられる姉』と言った所か。


「……わぁお……it's very beautiful」


 『何故姫野芽衣が此処に?』と思わなくもないが、今はそんなことどうでもいい。

 正直2人の姿は、思わずネイティブな英語が出てくるほどに美しくて絵になる。

 何なら今直ぐにでもスマホと一眼レフで連写したい所存である。


 俺が2人の百合百合しい……と言うか美しい姉妹愛みたいな光景に感激していると、姫野芽衣が俺に気付き、パッと笑顔を咲かせて手を振る。

 

「佐々木くーん、ここですよ!」

「う、うす……」


 俺は少し見惚れながらも、辛うじて返事を口にする。


 全く……俺の様な彼女居ない歴=年齢の高校男子に、笑顔を向けるだけでなく、手を振ってはいけませんっ!

 多分9割の男子が嬉しさと尊さ、可愛いさのトリプルコンボで即死だから。

 何ならオーバーキルだから。


 そんなことを考えながら遠慮がちに近づいた俺に、姫野芽衣が頭を下げて来た。 

 

「すいません。本来はお2人の予定だったと聞いていたのですが、私にもお2人のお手伝いをと……無理を言って連れて来てもらいました」

「ん、めいは頭いい。堂々の学年1位」


 柚が『どう? 偉いでしょ?』とでも言う様に胸を張るが、今回ばかりは認めざるを得ない。


 うん、とても偉いぞ柚。

 超絶ファインプレーだけど……姫野さんの言っていることは、果たして本当なのか?

 柚が無理やりって可能性も……無きにしも非ずと言った所だな。


「俺的にはありがたいけど……姫野さんは本当にいいのか?」

「全然大丈夫です! 寧ろ助けて下さった佐々木君になら、私に出来る事でしたら何でも言って貰えると嬉しいですっ! それに私の中ではですが、初めてのお友達とのお勉強会なので、とても嬉しいし楽しいですっ!」


 な、何て健気で可愛らしい子なんだ……。

 これで見た目も超絶美少女とか反則過ぎるだろ……!

 それに俺、姫野芽衣の中で友達になってるの?

 え、夢じゃないよね?


 俺が現実か割と本気で疑っていると———


「ん、めいは私の友達。えーたも友達」

「はいっ! お2人とも私の大切な友達ですっ!」


 ———お2人からの公認頂きましたぁ!


「ん、えーたも早く座る」

「此方にどうぞ、佐々木君っ」


 内心で喜び散らす俺に、2人はそう言うと、自分達の間に座る様に席を空けた。

 つまり、俺は両隣りを美少女に囲まれる———正に『両手に花』となるわけで。



 ———神様……俺、幸せです。



 俺はこの幸せを噛み締めた。 


———————————————————————————

 全然終わりじゃないよ!


 それと、☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!

 人気が出れば1日2話上がるかも。  

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