第33話 壁の向こう側

 マッピングを続けながらゴブリンを討伐して行ったけど、セレーナの出番はなく魔法で片っ端から討伐していった。1階層は特に変わったことはなくマッピングを終えたので、2階層へと下りて少し早い昼食休憩を取ることにした。


「ここなら見晴らしも良いから、少し早いけど昼食にしようか」

「「OK!」」


 昼食はサンドイッチに紅茶といった簡単な物なので、魔法鞄マジックバッグから折りたたみ式のイスを一緒に取り出して、手早く食事を取り始める。


 すると6人編成パーティーがやって来て、リーダー格の大柄な男のハンターが、俺達が食事をしてるのを見て軽く笑いながら『素人かよ』と、ギリギリ聞こえる程度の声量で呟いてから、ダンジョンの先へと進んで行った。


「嫌味なヤツだったわね」


 ハリエットは少し怒り気味に、追い抜いて行ったハンター達の愚痴を言う。上層階に現れる魔物は弱いので、いち早く先へと進むのが彼らの常識なのだろうけど、俺達は緑門のマッピングが目的なので、スタイルが違う訳だから仕方がない。


「僕達はマッピングをしながら進むからね。スタイルが違うから気にしても仕方ないけど、そのことを嫌味っぽく言う必要はなかったね」

輝煌星きこうせいのスタイルは他のハンターとは違うの? 私は他のパーティーを知らないから、このスタイルが普通だと思っていたよ」


 俺がハリエットと同意見だと答えると、アナスタシアは他のパーティーも同じスタイルだと思っていたようなので、輝煌星きこうせいのスタイルはかなり特殊なことを説明した。


「マッピングには、そういった想いが込められているなんて、ウォードは本当に凄いね。輝煌星きこうせいの一員になったことを誇りに思うよ!」

「そう言ってくれると嬉しいかな? さぁ、昼食も済んだことだし、2階層のマッピングを始めようか」

「「OK!」」


 2階層に変わったけど、ダンジョンの形態は特に変わらず洞窟タイプなので、後は魔物の種類が変わってないかを注意しながら進んで行く。


 前方に二手に分かれる通路があって、右側から激しく争う音が聞こえてくる。先を進んでいるパーティーが戦闘しているようなので、俺達は左側へと進んで行った。そのまま通路を進んでいくと、行き止まりに突き当たったけど、俺のマップには壁を挟んだ向こう側に空間があることが判った。


「行き止まりに見えるけど、壁の向こうに空間があるみたいだ。おそらく隠し部屋があるはずたがら、みんなでスイッチがないかも探してみようか」

「「OK!」」


 みんなで手分けして壁や足元を探し続けると、メルローズが変わった凹みを見つけたので、俺に声をかけた。


「ウォード、この窪みが気になるんだけど」

「本当だね。仕掛けがないか調べるね」


 俺は窪みに罠がないかを棒を使って調べてから、問題なさそうなので中に手を入れてみると、スイッチのような突起物があったので、みんなに声をかけてから押すことにした。


「突起物があるんだ。今からそれを押すから、空間から魔物が現れるかも知れない、武器を構えて警戒してね」

「「OK!」」


 みんなが武器を構えたことを確認してから、俺は突起物が押したのだった。


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