第11話 誤解を招くわよ?

 俺はアナスタシアの天賦を聞いて驚いた。


(付与に強化ってとんでもない天賦を2つも持ってるなんて……アナは神に愛されてるのか?)


 ただ、アナスタシア本人は2つの天賦の凄さが判ってないようだ。周りの人達もそのことに気づいてないなんて、天賦について学ぶ人は少ないのかな?俺は素晴らしい天賦なんだとアナスタシアに教えてあげる。


「アナちゃん、付与と強化は素晴らしい天賦なんだよ。アナちゃんがハンターだったら、僕達のパーティーに迎えたいほどの天賦だからね」

「でも、戦闘に不向きだからハンターにら向いてないって、学校のみんなは言ってたよ」

「直接戦うだけが戦闘じゃないんだよ?僕なんて戦闘能力は低いけど、指示することで貢献してるからね。アナちゃんの天賦はサポートに特化したものなんだ」

「戦闘のサポート?」


 戦闘のサポートと聞いても『ピン』とこないようで首を傾げていた。まぁ、ハンターをしてる訳じゃないから仕方ないね。少しの間は一緒にパーティー活動をするので、その時に経験してもらうとして、簡単な説明だけすることにした。


「うん、アナちゃんの〚付与魔法〛はアイテムに一時的な効果を付与できるんだよ。例えば剣の斬れ味を良くする効果とかを付与すれば、剣の攻撃力はあがるよね」

「はい」

「そして〚強化魔法〛はパーティーメンバーの力を一時的に底上げできるから、攻撃力を強化したり防御力を強化すれば、戦いを有利に進めることができるんだ。その2つを扱えるアナちゃんがパーティーに居れば、安心して戦うことができるんだよ」

「でも、そんな説明を受けたことないです」

「それは、天賦について詳しい人が居ないからだね。知ってる者ならば、必ずパーティーに誘うはずだから」

「それはウォードさんのパーティーでも?」


 俺の言葉を聞いたアナスタシアは、輝煌星きこうせいでも誘うのかと聞いてきたので、アナスタシアがハンターになると仮定して返事をした。


「そうだね。僕はアナスタシアが欲しい」

「私のことが欲しい……」


 何故か顔が赤くなるアナスタシア、その様子を見てるとパミュルが声をかけてきた。


『その場合は輝煌星きこうせいに欲しい天賦って感じで答えないと、アナスタシアを欲しいなんて真顔で言われた、誤解を招くわよ?』

『いやいや、流石にそれはないと思うよ?』

『ふふっ、そのうち判るわよ。きっとハンターになると言って輝煌星きこうせい入ることになるはずだから』


 言葉の選択というのは難しいもので、パミュルの予想が見事に的中するとは、この時の俺は思ってもいなかったのだった……

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