第5話 ウォードの決意

 俺を鑑定したハリエットの口から〚魔人〛という天賦があると言われたので、そのまま〚魔人〛の天賦がどのようなものなのか鑑定してもらう。


「その〚魔人〛がどういうものなのか鑑定してくれる!」

「うん、見てみるね」


 ハリエットに鑑定してもらった〚魔人〛の天賦とは次の通りの内容だった。


【魔人】女神セレスティアがこの世に創成した種族の1つで、天賦を発動することで魔人モードとなり、その力を行使することができる。魔人モードになれば魔語が使えるようになり、魔物とコミュニケーションがとれる。


「かなり特殊な天賦みたいだね。ハンター活動が再開できるようになったら、〚魔人〛の天賦を試してみるよ」

「それは楽しみだね。ラミュルさん、ウォードはどの程度でハンター活動を再開できるの?」


 俺がハンター活動再開を口に出すと、ハリエットがそのことをラミュルに聞くと、目を閉じて深く考え込む。心臓を移植した訳だから、直ぐにハンター活動を再開できるとは思ってないけど、やはり気になってしまう。


「臓器の移植なんて初めてだから慎重に経過を見たいから、1ヵ月は様子を見させて欲しいかな」


 ラミュルが1ヵ月と言ったのは、俺が魔物を討伐することだと思ったので、戦闘指示なら参加することができるのかを確認してみる。俺は例え戦えなくても、輝煌星きこうせいのみんなと一緒に冒険がしたいからね。


「今の1ヵ月というのは、僕が魔物と戦闘するってことだよね?戦わずに指示を出すだけならどうだろうか?」

「絶対に戦わないって約束できるなら、2週間後に経過次第で許可を出すわ」

「OK、勘が鈍ってなければ良いんだけどね」


 早ければ2週間後にハンター活動を再開できるかも知れない。心臓の痛みが出てから碌にハンター活動をしてないので、みんなの足を引っ張らないようにしないとね。


 そして、パミュルの能力を全て引き継いだから、輝煌星きこうせいでの俺の立ち位置が変わることも想定しながら、様々なシミュレーションをしようと思った。


「少しずつ慣らし運転をすれば、すぐに感覚を取り戻せるから焦らないでくださいね?」


 俺がハンター活動に復帰することに焦ってると思ったのか、メルローズが少し心配そうに声をかけた。


「気をつけるよ。焦らずにパミュルの力を扱えるようにして、その間に次の目的地を決めるよ」

「えっ!ウォードさんはヤンカー市を離れるんですか?」


 俺が次の目的地のことを口にすると、アナスタシアは驚きながら話しかけて、言葉のあとは寂しそうな表情をした。短い期間だけど親しくなったことに間違いはないので、去っていくことを知って寂しく思ってくれたんだね。


「この世界を旅して回るのは、子供の頃からの夢なんだよ。だからその風景をパミュルに見せてあげたいんだ」


 俺は左胸に手を当てながらそのことを伝えると、ハリエット達も『コクリ』と頷いた。


 俺はこの命がある限り世界中を旅して、その風景をパミュルに見せる。そして、世界中を旅し尽くして終の住処を見つけようと決意した。


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