第34話 足元を見る担当者
装備屋を後にして、馬車関連一式を取り扱う商会へ向かう中、装備屋でメルローズとパミュルの会話が気になったので、その事を聞こうとメルローズに近寄ろうとすると、パミュルに袖を掴まれて声をかけられた。
「女の秘密の話に介入しちゃダメよ?」
「は、はい……」
流石はパミュル、俺の行動を完全に把握していたようで、念を押されたので素直に引き下がる事にした。
街の中を20分ほど歩くと、次の目的地になる馬運商会に到着したので建物内へと入っていくと、案内係が声をかけてきた。
「ガレリア馬運商会へようこそ!乗り合い馬車の予約なら右手へ、それ以外は左手へお進みくださいね」
俺達は案内に従って左側へ進んでいくと、違う案内係が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ、ご用をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「世界を旅しながらハンター活動をしてます。移動用に馬と馬車を考えてるので、どんなものか見に来たのですが、自由に店内を見学しても大丈夫でしょうか?」
「そうですね。各部門ごと担当者が居ますので、声をかけて頂ければ結構です」
部門について判らないけど、馬車と言っても色々あるだろうから、見て回るついでに話を聞く事にして、商会で馬の操縦を教えてもらえるのかだけは確認をしておく。
「ちなみに、馬車の操縦を教えて頂く事も可能なんでしょうか?」
「はい、乗馬はございませんが、馬車操縦の講習は行ってます。よろしければご案内しますよ」
「いいえ、馬を購入すると決まれば声をかけますね。ありがとうございました」
馬車に関しては、ガレリア馬運商会で事足りそうなので、商会の中を色々と回る事にした。俺は馬車で移動するなら
「僕は
「2班に分かれましょうか、私とメルローズはウォードと客車部門へ行くわ、ハリエットとサーシャは使役馬部門を見てきてくれる?」
パミュルが手際よく2班に分けてくれた。貴族だったパミュルとメルローズなら、客車にある程度は詳しいと思うのと、ハンター協会に勤めていた2人なら、馬の手配などもしていたはずなので、馬に詳しいかも知れない。パミュルの判断は適切だと思った。
「OK!馬は速さよりも体力重視で探すね」
「じゃあ、そういう事でよろしくね」
ハリエット達は使役馬部門へ、俺達は客車部門へ向かって行って、担当者と話をする事にした。
「客車部門へようこそ、どのような物をお探しですか?」
「5人パーティーで馬車を使って移動しようと思っていて、
ハンターを生業にしてると伝えると、担当者の接し方が少し冷たい態度になり、冷やかしだと思ったのか高価な物だと強調してきたので、俺はギルドから渡された振込証明書を見せる。
「
「まぁ、ローンを組めば買える程度の収入はあると思いますよ。これが僕の直近の収入を証明する物です」
担当者は、書類を見るなり態度を一変して、満面の笑みを浮かべて対応をした。
(嫌な感じの人だな……まぁ、買うつもりはないんだけどね)
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