第20話 迎撃開始
翌朝になり、御者にもメルローズ達にも悟られないように、普段通りに接しながら馬車移動を開始した。
前半は俺とサーシャが後方警戒をして、後半は馬車の中でメルローズの勉強を見ていた。算術以外にも歴史や語学も、俺なりの覚え方を教えると思った以上の飲み込みの早さに驚いた。
(貴族は優秀なんだね。この調子なら学園でも勉す強はついていけそうかな?)
馬車の中からでも、日が傾いて来てるのが判ったので、勉強を終える事にした。短い期間だったけど楽しかった事をメルローズへ伝える。
「メルローズ様、この辺りで終わりにしましょうか、明日になればガレリア学園に到着します。馬車移動での勉強お疲れ様でした。人に教える楽しさを学べて良い経験になりましたよ」
「お礼を言うのは私の方ですわ。勉強以外にも街で暮らす平民の事も聞けて、とても有意義な時間を過ごせました。それに、私のワガママに付き合ってくれて本当に感謝してるのよ」
この態度から見て、メルローズのどこがワガママ令嬢なのかと思う。上位貴族に目を付けられる事を避ける為とはいえ、あまりにも可哀想だと思った。
「メルローズ様はワガママではありませんよ。もっと世間を知れば立派な淑女に、そしてコスター家の当主になれますよ。いつかノースホランへ立ち寄った時に、メルローズ様と再会できる時を楽しみにしてます」
「ウォード様、必ず会いに来てくださいね」
俺の言葉に満面の笑みを浮かべて返事をした。そんなメルローズを見て『必ず守りきる』と心に誓ったのだった。
「野営ポイントに着いたよ。明日には予定通りにガレリアへ到着します」
「ご苦労さま。では外へ出て最後の夕食にしましょうか?」
「かしこまりました」
俺達は馬車の外へ出てから、メルローズを交えて夕食を取りながら少し会話を楽しんだ後は、メルローズは馬車に入って就寝をし、俺達は襲撃に備える事にした。
「僕の予想だと夜中に襲撃を仕掛けてくるのと、御者が直前に動くはずだから、それが襲撃開始のサインだと思うから、サーシャさんは作戦通りに植物魔法で拘束して欲しい」
「判りました。拘束するのは2人で移動した時のみですよね?」
「そうです。同時に拘束しないと、こちらの動きを伝えられるからね」
初動で御者の2人を拘束すれば、相手の出鼻を挫く事ができるからね。その次からは相手の出方次第になる。
時間が経過して夜中になると、御者の2人が動き出したので俺が声をかける。
「あれ?2人揃ってどこへ行くんですか?」
「あっ、いや、トイレだよ?」
「それなら2人同時に馬から離れないでしょ?」
「えっ、それよりウォード君はどうしてこんな所に居るんだい?」
話題をそらそうとしたので、俺は後ろに控えるサーシャへ拘束のサインを出す。
「2人の行動が気になったので拘束します」
「
俺の声と同時にサーシャが植物魔法で2人を拘束すると、草に巻きつかれて身動きを取れなくしたところで、俺は剣で後頭部に打撃を入れて気絶させた。
「盗賊達はあの方向からくるはずだ。これから迎撃戦を開始するよ!」
「「OK!」」
俺達と盗賊達との戦いが、メルローズ達が寝静まった夜半に始まろうとしたのだった。
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