第12話 ガレリアへの護衛②
ガレリアへ向けて馬車が出発する。
初日は大きな街道を進むので、余程の事がない限り俺達の出番はないはずだ。馬車は御者席にはケントとネイトが交代で手綱を取って、後部席には護衛である俺達が担当する。俺とサーシャの班と、ハリエットとパミュルの班に分かれて後方警戒にあたる。
最初は俺とサーシャが後部席に座って、後方の警戒をしながらサーシャに護衛のアドバイスをしていた。
「護衛の基本は周辺の警戒になります。今のような見晴らしの良い街道を進んでいる時は、魔物の襲撃は殆ど無いので、盗賊による襲撃に注意しましょう」
「はい、このポイントからが森林地帯に入るようですが、街道は無くなるんですか?」
「一応は道になってますが、石畳で整備された物ではなく、整地した程度の荒れた道になってるので、乗り物酔いをする人には辛いかな?」
「わっ、初めてなので少し不安だな……」
森林地帯が全行程の7割を締めるので、その事で不安になったみたいで、サーシャの表情が曇った。
「こればかりは慣れるしかないので、気分が悪くなったら遠慮なく言ってください」
「はい」
その後もサーシャと警戒を怠らずに、色々な話をしながら馬車が進んでいると、休憩ポイントに到着したようで馬車が停止した。
「ここで一旦休憩をとるぜ!花摘みは済ませてくれよ」
ネイトの声の後に、馬車の扉が開いてメルローズ達が外へ出てくる。ハリエットとパミュルは少し機嫌が悪いようで、俺の元へ歩み寄って来た。
「あの娘の自慢話を聞かされ続けて疲れたわ。ずっと家の自慢や持ち物を見せながら話し続けるのよ?返事するだけでも辛いわよ」
ハリエットが『グッタリ』しながら愚痴を口にすると、パミュルも頷いていた。
「ははっ、それはお疲れ様。次は後部席だけど少しは気分転換になるといいね」
パーティーメンバーで話をしていると、メルローズのメイドがやって来て、申し訳なさそうに話しかけてきた。
「あの〜、お嬢様がその〜、お花摘みをしたいと言われてるのですが……」
「あっ、そうか、直ぐに準備します」
男は周りの目を気にする必要はないけど、女性はそうはいかない。俺は
「お待たせしました。使い方が判らない時はハリエットに聞いてくださいね」
そう言ってから俺が簡易トイレから離れて行くと、メルローズは慌てて入っていった。
俺は出発前にメイドさんへ歩み寄って、水分の取り過ぎに注意をするように伝えると、休憩が終わって出発する。次は俺とサーシャが馬車へ乗ってメルローズの相手をする事になった。
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