第7話 新たなスタート

 サーシャの言葉を聞いて、俺は頭の収拾がつかなかった。ノースホランへはハンター協会の職員になる為にやって来たと思っていたからだった。


 俺は少し戸惑いながら、なぜそんな考えに至ったのかを知る為に、サーシャへ質問をする。


「えっと、ハンター協会の職員になる事が目的でしたよね。どうしてハンターになろうと思ったんですか?」


 俺からその事を聞かれると、真っ直ぐな目を俺達に向けて口を開いた、その様子を見る限り悩みは全くなく、協会職員ではなくハンターになると確固たる決意を持ってるのは判った。


「ノースホランまで旅路の中で、3人と一緒にハンターの訓練をしてるうちに、非戦闘職以外にも頑張れる事に気付きました。そして、ウォードさん達とハンターとして頑張ってみたいと思った。ただそれだけです」

「とても嬉しい申し出ですが、それは僕達のパーティーじゃなくても良いのでは?僕達と一緒という事は世界を転々とする事になりますよ?」


 俺達はヤンカー領を目指してるけど、そこが最終目的地ではない。その後も世界中を周る事になるので、ハリエットやパミュルのようにその覚悟が必要だと思う。ハンターとして安定した生活を望むなら、ノースホランで気の合うパーティーを見つけるのが、サーシャにとってはベストな選択だと思った。


「それでも構いません。私は尊敬するウォードさんやハリエットさん、パミュルさん達とハンターとして頑張りたいんです」


 俺のどこが尊敬に値するのかは判らないけど、ハリエットとパミュルは俺の肩に触れた後に、頷いてからこう言った。


「「良いんじゃないの」」

「えっ、そんな簡単に決めるの?」


 あっさりと2人が認めたので、思わず2人に確認をするとパミュルが答えてくれた。


「覚悟を決めた女の目をしてるんだもの。それを無下には出来ないわ」

「そ、そうなんだね……判ったよ。サーシャさんよろしくお願いしますね」

「はい!」


 俺には判らない女性の世界の話だったので、2人が認めたのでサーシャをパーティーに迎える事となった。


「それじゃあ、明日はハンター協会へ行かなくても良いね。旅の疲れを取る為にゆっくり過ごして、明後日から次の旅の準備をしようか?」

「良いけど、次の目的地はどうするの?」


 サーシャのハンター協会へ行くという用事がなくなったので、ゆっくりと疲れを癒やす事にした後に、パミュルが次の目的地を聞いてきたので、今思っている目的地を伝える事にした。


「ガレリアに行こうかと思ってるんだ。少し遠いんだけど、そこへ着けば次はヤンカー領に行くのに良い場所だと思ったからね」

「ガレリア、懐かしいわ。フォードと出会った学園がある所なのよ」


 前世で母さんが父さんと出会った場所なのか、懐かしい場所ならきっと寄りたいはずだと思い、ガレリアへ行こうと心に決めた。


「じゃあ、行く場所も決まったし後は休んで、旅の疲れを癒そう。サーシャさん、明後日に旅の準備をするので、それまではゆっくりとしててくださいね」

「はい、では部屋へ戻りますね」


 こうして、俺達のパーティーにサーシャを迎えて、新たなスタートを切る事になったのだった。



 


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