第48話 上層マッピングと素材集め

 イテーツさん加工依頼したやじりが出来るまでは、ムカデとの戦闘を避けながらマッピングをしていく事にした。その代わりダンゴムシの討伐に集中して、ドロップの外殻を集めて防具を加工に充てる。硬くて軽い外殻で防具を作れれば、身の安全守れるからね。


 ルクンナ洞へ入る前に改めて説明をする。


「これからマッピングをして行きますが、ダンゴムシは討伐してムカデとの戦闘は避けます。遭遇した場合は、ハリエットの土魔法で視界を奪って逃げますからね」

「OK!」


 俺とハリエットさんなら、こんな説明は不要なんだろうけど、慣れてしまうと仲間が増えた時に疎かになるので、意識して説明するようにしてるんだ。己の怠慢で仲間を危険にしたくない。


 前は分岐を左へ進んだけど、今回は右を進んで行く事にした。理由は左右の限界を知れば、ダンジョンの大きさが何となく把握出来ると思ったから。まだスライムの穴しか経験してないけど、あれがダンジョンの基本だとすれば、ダンジョンの形は正方形だと思われるので、それを踏まえてダンジョンの大きさを予測しようと思った。


 そんな訳で、分岐を右に進んでいくと『カサカサ』と聞き慣れた音が聞こえてきたので、俺は武器を構えて指示を出す。


「この音はおそらくダンゴムシ。僕は前方を注視するので、ハリエットさんは天井をお願い!」

「OK!任せてね」


 2人でダンゴムシを探していると、ハリエットさんが天井を這いながら進むダンゴムシを見つけた。


「ウォード、天井にダンゴムシ!」

「ありがとう、確認しました!」


 見上げるとダンゴムシが俺に向かって来るのを確認すると、球体になって『ビュン』と飛んできたので、剣で弾いて球体から解除すると、ハリエットさんは待ってたとばかりに魔法を唱える。


「任せて!〚石弾ストーンバレット〛」


『ゴッ!』「キシャァ」


 魔法が直撃すると仰向けになったので、俺が剣でダンゴムシの腹部を突き刺すと魔石と外殻を残して消滅した。相変わらず〚幸運〛の天賦のおかげなのかドロップがよく出る。アイテムを回収した後は、ハリエットさんとハイタッチをしてからマッピングを再開する。


「やっぱりウォードの〚幸運〛は凄いね!持って帰ったらイテーツさんが驚くよ!」

「僕自身が驚いてますからね。この調子で素材が集まると防具分は集まるかな?」

「外殻は硬くて軽いから良い防具が出来るね!」

「どんなデザインの防具にするかを、考えておいてくださいね」


 俺はせっかく防具を作るなら、ハリエットさんの物を作る気だったのでその事を伝えた。ハリエットさんは俺の防具を作ると思っていたらしく、『えっ』とした反応をみせた。


「今のパーティーはウォードが先頭なんだからさ、先ずはウォードの防具を作るべきだよ!」

「僕は後で大丈夫ですよ。大切な人の安全を優先しないのは男として失格なので」

「大切な人……ありがとう♪凄く嬉しいよ♪」


 そう言った後に、ハリエットさんは俺の頬にキスをしてくれた。


 俺にとっては至極当然の事を言っただけなんだけど、それでハリエットさんに喜んでもらえて、更にキスのご褒美がもらえてラッキーだね♪


 この日は右を進んで行けなくなった所で、マッピングを終了して戻る事にした。幸いムカデに遭遇する事はなく、ダンゴムシを3匹倒して外殻を2つドロップという〚幸運〛に恵まれて、大満足しながらダンジョンを後にした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る