第37話 言質を取られる……

 俺とミリムは村へ戻りハンター協会へ向かう。


「ウォード、ミリムちゃん、おかえりなさい♪」

「ハリエットさん、ゴブリンを倒したんだよ♪私とウォードで2体も倒したの!」

「凄いわね!2人とも怪我はないのね?」

「はい、大丈夫です」


 俺とミリムは、ハリエットさんが居るカウンターへ向かって、依頼完了手続きをしてもらう。


「ミリム、魔物討伐ができて僕も嬉しいけど、もう少し静かにね。周りの迷惑をかけるからさ」

「あっ、ごめんなさい」

「えっと、これがゴブリン2体の討伐部位と狩猟で取った野鼠3匹です」

「はい、野鼠は素材班に渡すわね」

「ありがとうございます」

「なにかあったの?少し雰囲気が変わったように感じるんだけど?」

「あのね、私とウォードはずっと一緒って約束をしたんだよ♪」

「まぁ!それってプロポーズ?」


 ミリムの言葉にハリエットさんは驚いていた。まぁ、10歳に満たない子供だからね。


「少し訂正をしておきますね。まず、ずっと一緒に頑張るのは本当です。このまま大人になるまでこの関係が続いたら、その時は僕からミリムに告白すると伝えたんです。なのでプロポーズはまだですよ」

「2人はお似合いだから良いと思うわよ♪」


 俺達の話をしてるうちに査定が終わったみたいで、依頼報酬を受け取ってからミリムを孤児院まで送る事にした。


「では、ミリムを孤児院まで送ってきます」

「はい、ゴブリン討伐お祝いをしないとね♪」

「それは楽しみです♪」

「ハリエットさん、バイバイ~」


 挨拶を済ませてからミリムを孤児院へと送り届けると、帰り間際に俺の頬へキスをしてくれた。


「ありがとう♪大好き」

「僕もだよ」


 俺はミリムの額にキスをしてから、ミリムが孤児院の中へ入っていくのを確認してから家へと戻った。


「ただいま戻りました」

「ウォード、おかえりなさい♪」

「凄くいい香りがしますね。何か手伝います」

「殆ど出来上がってるから、食卓へ運んでもらっていいかな?」

「任せてください」


 俺は出来上がった料理を運んでいくと、最後のメインディッシュが出来上がった。

 ハリエットさんが食卓へ持ってきたところで、豪華なディナータイムが始まる。


「ウォードの魔物初討伐とミリムちゃんとの婚約をお祝いして、かんぱ~い♪」

「えっと、婚約って……」

「だって、何も無ければ結婚するって事じゃない。婚約以外のなんなのよ?」

「う~ん、そうなるのかな?」

「まさか、ウォードに先を越されるとは(泣)」

「イヤイヤ、まだ結婚してませんから!」


 まさか、俺が先に相手を見つけた事でショックを与えていたとは……焦りながらハリエットさんに言い訳をする。


「嘘だよ♪でもね、このまま私とウォードに誰も現れなかったら、私はウォードと一緒になっても良いかなって思った事はあるんだよ?10以上離れたおばさんなんて嫌だろうけどね(笑)」

「いえ、ハリエットさんは素晴らしい女性です。とても綺麗で料理も上手ですからね」

「褒めるのが上手いね。本気になっちゃうぞ?」

「ミリムがいるので無理ですよ(笑)」

「別に問題ないよ?一夫多妻、多夫一妻に数の上限は無いんだからね」

「そ、そうなんですね……それならアリかな?」

「本当にいいの?おばさんだよ?」

「まだ良い縁が無い訳じゃないのと、僕はまだ子供なので気が早いですよ(笑)」

「でも……相手が見つからなかったら貰ってくれるの?」

「それは、ミリムが認めるなら(汗)」

「はい、言質は取ったからね。明日にでもミリムちゃんにも聞いておくからね(笑)」


 なぜか、ハリエットさんに相手が見つからない場合は、俺が嫁に貰うなんで話になってしまった……


 これも〚幸運〛がもたらした事なのか?

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