図書館の白ローブの人影
私は高校二年生の時、友達と一緒に放課後に図書館で勉強していました。
その日は金曜日で、図書館は夕方まで開いていましたが、私たちは早く帰ろうと思っていました。しかし、勉強に夢中になっているうちに、気づいたら外はすっかり暗くなっていました。時計を見ると、もう六時を過ぎていました。
「あ、もうこんな時間だ。早く帰らなきゃ」
と私は友達に言いました。
「そうだね。でも、図書館の人はまだいるのかな? 出口は閉まってないといいけど」
と友達は心配そうに言いました。
私たちは急いで本を片付けて、図書館の出口に向かいました。
すると、そこには驚くべき光景が広がっていました。
図書館の出口は、まるで別の世界に繋がっているかのように、暗闇の中に浮かぶ白い扉になっていました。扉の前には、白いローブを着た不気味な人影が立っていて、何かを呟いていました。
「あれ、あれは何?」
「怖いよ、早く逃げよう」
私たちは恐怖に震えながら、扉から離れたところにある非常口に走りました。しかし、非常口も同じように白い扉に変わっていて、同じ人影が呟きながら立っていました。
「どうしよう、どこも出られない」
「これは一体何なの?」
私たちはパニックに陥りました。図書館の中を走り回ってみましたが、どこも同じでした。どの出口も白い扉に変わっていて、白ローブの人影が呟きながら守っていました。
「これは呪われた図書館だ」
「誰かが私たちを閉じ込めたんだ」
私たちは泣き叫びながら助けを求めましたが、誰も来ませんでした。白ローブの人影は無表情で呟き続けていました。
「この図書館は世界の秘密を守る場所だ」
「この図書館から出る者はなし」
「この図書館から出る者は世界の秩序を乱す者だ」
私たちは絶望しました。このまま一生図書館から出られないのだと思うと、気が狂いそうでした。
それからどれくらい経ったかわかりませんが、突然、白ローブの人影が消えました。そして、白い扉も元の扉に戻りました。外から明かりが差し込んできました。
「え、何?」
「本当?」
私たちは信じられない気持ちで扉を開けてみました。すると、そこには普通の校庭が広がっていました。時計を見ると、まだ四時半でした。
「どういうこと?」
「時間が戻ったの?」
私たちは混乱しました。あれは一体何だったのでしょうか。夢だったのでしょうか。それとも、本当に呪われた図書館に閉じ込められたのでしょうか。
私たちはその日から、二度と図書館には近づきませんでした。そして、あの出来事を誰にも話しませんでした。
でも、私は今でも時々、あの白ローブの人影の呟きが聞こえるような気がします・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます