AM1:50~CM明け。

 ~♪(ブリッジジングル)


『は、はい! み、みなさんこんばんは。えーと、あなたのお耳の、えーと、なんだっけ……お耳のサティスファクション……マイケル・ジャンクションの川島ジャパンなんですけれども! なんとジャンクションさんが行方不明になってしまいまして……しばらくの間、奈落野楽奈ならくのらくなことミジンコがお相手させていただきます。よ、よろしくお願いします!』


(静かな間)


『えーと、えーと。……あ、そういえば今朝の話なんですけどね……。道を歩いていたら、白い子犬がうずくまっていたんですよ。……私は、大丈夫かなあ、嫌だなあ、怖いなあって思って近づくと……なんと……その子犬は……』


(静かな間)


『……白い濡れ雑巾だったんです……!』


「あ、奈落野さん!」


『……では、続いて、朝の鳩のものまねを……』


「な、奈落野さん、一回止まってください!」


『ああ! ジャンクションさん! 戻ってきてくれたんですね!』


「いえ違います! ボクはただのADです! すみません、もう番組名からなにから滅茶苦茶だったので、つい割ってしまいました!」


『え……壺を……ですか……?』


「いや壺の話はしていないです! ええと、大物ゲストに来てもらえることになりました! それまではフツオタも来ていますので頑張ってください奈落野さん!」


『そ、そうなんですね! 分かりました! ではフツオタさんに登場していただきましょう! どうぞおっ!』


「……いや、フツオタって、普通のお便りって意味です!」


『ええっ!? そ、そうなんですね……私、とんでもない間違いを……これもしかして炎上……』


「しないですから大丈夫ですよ!」


 ガサガサ(紙の音)


『えーと、それでは厳粛にお読みさせて頂きます。ラジオネーム、ろーぽさん』


 ――ハイウェイ川島さん、奈落野ちゃん、こんばんは。

 

『こ、こ、コンバンワァ(ハイウェイ川島のものまね)、こんばんはー』


 ――悩み相談です。犬が逃げたと実家から連絡があり、いま夜の街を探し回っています。仕事もあったのですが、全てほったらかして犬を探しています。どうすれば良いと思いますか。


『というお便りをいただきましたー。あのう、ろーぽさん。非常に残念なお知らせなのですが、このラジオは犬ラジオじゃありません。私が犬みたいなタイトルコールをしたために勘違いさせてしまい、大変申し訳ございません。私のことは嫌いになっても、犬のことは……』


 ガサガサ(紙の音)


『あ、次のフツオタが届きましたよ、みなさん。えーと、ラジオネーム、ぷるぷるぷりんさん』


 ――ハイウェイ川島と楽奈ちゃん、こんばんは!


『コンバンワァ(ハイウェイ川島のものまね)、こんばんはー』


 ――ここまでずっと聴いてましたが、未だに楽奈ちゃんに謎が多いです。地下アイドルとのことですが、オリジナル曲とかはあるんでしょうか?


『なるほど、ありがとうございます。オリジナル曲、あります! 梶木鮪かじきまぐろ先生が作詞作曲してくださった、マッドサイエンティストっていう曲です! と書いてマッドサイエンティストと読みます! 昨日CDが発売したばかりなので買っていただけると嬉しいです! 拍手券が付いてきますので!』


 ガサガサ(紙の音)


『ああ、どんどんフツオタが。お次はラジオネーム、ひざ掛けババアさん』


 ――泥団子三期生の曲を聞きたいのですが、検索しても全然出てきません。どうすればいいですか。


『調べて下さってありがとうございます! たぶんリアス式海岸で検索すれば出てくると思います!』


 ――拍手券てなんですか?


『ライブで拍手出来るようになる券ですね!』


 ――実家の犬、見つかりました!


『あああ、ラジオネームろーぽさんですか? 犬見つかって良かったです!』


 ~♪(イントロ)


『ああっ! この曲は、私たち泥団子三期生のデビュー曲、マッド団子好きサイエンティストじゃないですか! 流して頂けるんですか!? ありがとうございます!』

 

 

 マッド団子好きサイエンティスト

 作詞:梶木鮪かじきまぐろ 一本釣いっぽんづり

 作曲:梶木鮪 一本釣

 編曲:DJ☆夜矛ン銃斗ヨルムンガント

 


 ~♪ 泥にまみれた君は~♪

 

『えーっと、一番Bパートの『もーちーもーちー』の部分が私のソロパートです! 何といっても六十四人分のパートがありますので、そういうところも聴いていただけたらなと思います! センターの子の美声とかたまりませんよお! あ、もう脱退しちゃってるんですけどね……。あ、そうそう。MVも見どころ満載でして。リアス式海岸で行われた六十四人の泥団子合戦は必見です!』


(スタッフの小さな声)

 

『あ、音楽が鳴ってる間は喋らなくても放送事故にならないんですね……すみませんベラベラと……てゆーかさっき言ってた私のパート、とっくに終わっちゃってますね……えーと……では……二番のサビから……どうぞ……』



 ~♪ 砂浜に咲いた一輪の花~♪

 ~♪ キラキラで透明に透き通って~♪

 ~♪ よく見たらクラゲじゃねえか~♪

 ~♪ 刺される私~泥まみれの思い出~♪


 ~♪ 砂浜に咲いた一輪の花~♪

 ~♪ 鮮やかに七色に咲き誇って~♪

 ~♪ よく見たら使用済みの花火~♪

 ~♪ 悲しむ私~ゴミ拾いの思い出~♪

 


 

 ――――▷▷▶ コマーシャル。





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る